ベトナム 一般ニュース
ベトナム・鉄鋼業界の財政難が深刻化
国内外の供給が需要を上回る状況に直面しているだけでなく、鉄鋼業界は、財政難に陥っている多くの投資プロジェクトを抱えている。
2012年、世界の政治・経済状況の混迷が続く中、多くの国が投資や予算を継続して削減することも、鉄鋼製品の需要低下につながっている。
大量の鉄鋼製品の輸入国であるアメリカ、西ヨーロッパ諸国は、輸出国である中国、韓国、日本からの輸入量を削減しているため、鉄鋼市場価格の落ち込みが予測される。
ベトナム鉄鋼協会(VSA)によると、国内の鉄鋼価格に大きな変動はないと予測されるが、2012年、ベトナムでの供給が需要を上回る状況下、国内鉄鋼価格が上昇する可能性は低いとみられる。(但し、2012年におけるガソリン、オイル、石炭…などの市場価格化調整が行われた場合、鉄鋼製品の価格が変動する可能性がある。)
また、製鉄所関係の投資プロジェクトも資金難に陥っている。VSAのリポートによると、ラオ・カイ省(Lao Cai)のタイ・グエン(Thai Nguyen)鉄鋼製錬所プロジェクト第2フェーズは、2012年までに資金策及び進捗フォロー体制がなければ、完成は難航する。また、高金利が各業者には大きな財政負担を強いている。
大規模案件であるホア・ファット(Hoa Phat)グループ及びPomina社のプロジェクトが、2012年中には実施延期または中止となる模様。原因は複数あるが、その一つは資金調達難である。
ハイ・フォン市(Hai Phong)のバン・ロイ高炉(Van Loi)及びハ・ティン省(Ha Tinh)のディン・ブ(Dinh Vu)高炉のような完成済みまたは建設中のプロジェクトにおいても2012年の明確な方向性がまだ定まっていない。財政問題の解決、及び原材料安定供給の仕組み作りも容易ではない。
特に、クワン・ガイ省(Quang Ngai)のズン・クワット工業団地(Dung Quat)におけるクワン・リエン製鉄所(Quang Lien)プロジェクトは、政府からの生産能力引き上げ(年間500万トンから700万トンへ)及び資本金変更(30億ドルから45億ドルへ)の許可を得られた現在も資金調達が難航している。VSAによると、プロジェクト実施の推進は非常に厳しい。
上述により、2012年の鉄鋼業界は多くの困難に直面すると予測される。適正な政策及び生産・輸出拡大戦略がなければ、製鉄業は今後、また多くのリスクに直面する。(原文)