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税関の保税監督管理区域について
保税加工と保税物流は中国の輸出入貿易の両輪
企業の加工貿易業務に対する税関の政策は「保税監督管理」という言葉で捉えられており、機能別に「保税加工」と「保税物流」と分けてその発展に 応じて制度が形作られてきたといえます。今回から税関の特殊監督管理区域と呼ばれるいわゆる各種の保税区域について、紹介していきます。
「保税加工」と「保税物流」は、加工貿易を行うための重要な機能で、中国の輸出入貿易発展に欠かせない2つの両輪、と称されます。他の国と同様に、加工貿易を税関が特別に管理する保税区域内で発展させようという目的のもとに、全国15か所の保税区が設立されました。その後保税区の制度の不完全性が問題となり、機能を「加工」と「物流」に分けて保税区域を発展させてきました。その変遷は図の通りです。加工機能強化のために設置されていったのが輸出加工区です。一方、物流機能向上のために保税倉庫・輸出監管倉庫が定義されるようになりましたがこれは輸入用、輸出用と物流の方向が限られていました。双方向で移動できるようになったのは物流センターA/B型といわれる区域に対してです。主に内陸地域に認可される区域となっています。また、同じような機能を持つ地域として、海港のある保税区に隣接あるいは保税区を囲むようにして保税物流園区が建設されるようになってきました。
最近では、機能別発展の経験により制度の運営に自信を得て、本来の目的通り機能を集約しようと「総合保税区」や「保税港区」の認可・建設が行われています。
広東省の保税区域
広東省には現在保税区6か所(福田、沙頭角、塩田、広州、珠海、汕頭)、輸出加工区として認可されている場所が4か所(広州、深圳、南沙、恵州)、クロスボーダー工業区1か所(珠海)、保税物流園区が1か所(塩田)あります。
*各地の運営状況はそれぞれ異なりますのでご注意ください。
輸出加工区の特徴
現在中国全土には60か所近くの輸出加工区があり、1000社以上の加工企業を誘致していると言われていますが、これまでの運営には各地でばらつきがあります。広東省内の輸出加工区にも、認可された後十分に運営されていない地域もあります。発展の余地を大いに残した区域を復活させるチャンスとして、加工貿易政策の動向の中で制限類商品の継続加工が加工区内企業には認められるなどの優遇が与えられ、輸出加工区への誘致活動と整備にあらためて注力している様子が伺えます。現在輸出加工区内で行われる加工貿易は、加工貿易輸出入総額の12%程度で、ここ数年のうちに輸出加工区を含め、特殊監督管理区域内の加工比率を上げていきたいというのが税関の目標と言われています。
輸出加工区で行われる加工業務において、輸入原材料は免税、加工は免税、加工に関わる高熱水費などの増値税も基本的に免税政策が取られています。国内から原材料を調達することも可能で、国内貨物の加工区への搬入は輸出通関が行われ、輸出に際しての増値税は国内企業に還付されます。
加工後の製品については以前は基本的に輸出とか、70%は輸出という政策が取られていましたが、市場のニーズに基づいて国内に販売してもよい加工区もあります。販売する場合は、保税、課税のいずれも可能ですが、課税の場合は加工区から搬出される際の商品のHSコードに基づき課税されるのであって、元の原材料に対して課税されるわけではありません。
また区内の加工企業は全てネットワーク管理となっています。
輸出加工区はその機能の特徴から、入居企業がこれまで製造工場だけに限られ、加工区は物流や貿易機能は備えられていませんでしたが、最近になり物流企業の誘致を試験的に始める加工区が出てきました。
次回は、保税物流機能を持つ各区域について紹介します。
(以上)
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