ベトナム ベトナム会計税務要点解説

[ベトナム要点解説] 移転価格税制について (1)

2010年4月に、移転価格に関する新たな通達Circular66/2010/TT-BTCが発行され、移転価格の算定方法、関連者間取引の定義、また関連者取引の報告義務等が改定された。
本レポートでは、Circular66に基づきベトナムの移転価格税制について2回に分けて解説する。

1. ベトナムの移転価格税制

移転価格とは、関連者間取引が、独立した第三者間との取引価格(独立企業間価格)と異なる価格にて取引が行われた場合、その取引は独立企業間価格にて行われたとみなして課税所得を計算し課税する制度である。

ベトナムでは、2005年12月に、移転価格に関する初めての法令であるCircular117/2005/TT-BTC(Circular117)が公布され、基本的なルールと文書化について明文化された。

しかしその後、法人所得税法および税務管理法の改定が実施され、それらと整合性を維持するため、またCircular 117の運用を調整するために、2010年4月、Circular117を修正したCircular66/2010/TT-BTC(Circular66)を新たに発行した。Circular66は、関連者の定義の範囲が拡大、また市場価格決定に関する文書化で要求される書類の要求事項も拡大した。

2. 関連者間取引

関連者としてみなされる関係は、以下のとおりである。
a) ある企業が他企業の資本20%以上を直接又は間接的に所有している。

b) 両企業が、第三者の企業によって資本の20%以上を直接又は間接的に所有されている。

c) 両企業が、第三者の資本20%以上を直接又は間接に所有している。

d) ある企業が、他企業の最大株主となり、直接又は間接的に10%を所有している。
e) 他企業の資本の20%以上相当又は中長期借入金総額の50%相当額を貸し付けている。
f) 半数以上の役員を派遣、あるいは財務・経営に対し意思決定権を有している。
g) 両企業が、第三者の企業から半数以上の役員が派遣されている、あるいは第三者の企業によって財務・経営に対し意思決定される。
h) 両企業において、財務・経営に対し意思決定する者同士に、夫婦、親子、兄弟、祖父母と孫、伯(叔)父母と甥・姪の血縁関係がある。
i) 両企業が、本社と外国の組織又は個人の恒久施設の関係にある。
j) 製造原価又は経費の50%以上が、他企業の無形資産又は知的所有権となっている。
k) 原材料仕入れの50%以上を占める仕入先
l) 総売上の50%以上を占める販売先
m) 業務提携契約先