ベトナム ベトナム会計税務要点解説
[ベトナム要点解説] 法人所得税の取り扱い
2011年に入り、税務局から法人所得税の取り扱いに関する重要な通達がいくつか発表された。以下、ポイントを絞って解説する。
目次
I. 法人所得税に関するガイダンス(Circular18/2011/TT-BTC)
2011年2月10日、ベトナム財務省は2008年に発行された法人所得税に関するCircular130をより詳細に解説したガイダンスCircular18/2011/TT-BTCを発行した。2011年度より適用される。このCircularでは、損金算入可能となる費用の項目が具体的に明記されている。
1.損金算入可能費用について
- 自然災害等により資産が損失を受けた場合、損金算入するために以下の書類を必要とする。
- 資産が損失を受けた理由に関する文書
- 損失を受けた資産のリスト。(個々の名称、残存価値、損失理由について記載)
- 当局が発行する当該自然災害が発生した旨の証明書
- 保険会社から補償金を受取った場合、その受取証明書
- 個人や会社に補償金を支払う場合、その支払い証明書
- 季節的要因により9ヶ月未満の使用、又は修理により12ヶ月未満の使用となる固定資産に関する減価償却費は、法人所得税確定申告書提出までに税務局に理由を申請することで損金算入可能となる。
- 企業は、主な製品にかかる原材料、光熱費等の原価率を税務局に登録する。その原価率は自社で算出する。
- 従業員の制服は年間一人当たり5,000,000VND以内で損金算入できる。
- 住宅手当や従業員及び駐在員帯同の子供の高校までの学費手当は、労働契約書に明記され法的に有効なインボイスがある場合に損金算入可能となる。
- 事業活動のために使われ、法的に有効なインボイスや書類によって使用期間が明記されている長期土地使用権について、規定に従って償却費を期間配分し損金算入できる。
2.その他収益について
期中に発生した輸出入の関税の還付については、費用の減少として認識する。期中以前に発生した輸出入の関税の還付についてはその他収益として25%の法人所得税が課税される。
3.繰越欠損金について
四半期で発生した欠損金は課税年度内の他の四半期で発生した利益と相殺できる。
4.課税年度について
企業は、決算月を暦年度(期末を12月末とする)からそれ以外の月(3月、6月、9月)に変更した場合(またはその逆に変更)、その変更によって生じる課税年度は12ヶ月以内でなければならない。
例)決算月を12月から3月に変更する場合
変更初年課税年度 1月から3月までの3ヶ月間
次年課税年度 4月から3月までの12ヶ月間
II. 中小企業の法人所得税、納付延期措置(Decision No 21/2011/QD-TTg)
2011年4月6日、政府は、中小企業に限り、法人所得税の納付期限を1年延長する決定をした。
ここでの中小企業は、従業員が300名以下あるいは総資本金1千億ベトナムドン(約US$5 百万)以下の企業を意味する。(56/2009/ND-CPより)
なお、中小企業であっても、不動産業、銀行、保険及び高級品等輸入業者については適用されない。この決定により、2011年の第1四半期の法人所得税支払い期限は今月末となっていたが、2012年4月末までとなり、2011年度の年間法人所得税は2013年3月末までに支払うことになる。