ベトナム ベトナム会計・税務 Q&A

[ベトナム 会計・税務] ベトナム会計基準 外貨換算基準

Q.ベトナムドンに基づく記帳を行っていますが、外貨建て預金や債権・債務のベトナムドンへの換算及び財務諸表への表示に関する注意事項などありましたら教えてください。

A.ベトナムでは、原則としてベトナムドンが記帳における基準通貨となります。従いまして、外貨建項目は、ベトナムドンに換算してから記帳しなければなりません。また、決済や決算時において為替差損益が発生しますが、損益計算書に計上しないケースもありまのでご注意下さい。

1. 外貨建取引

外貨建取引とは、契約価額が外貨で表示される取引(購入、販売、借入、貸付など)を指します。ベトナムでは原則としてベトナムドンが記帳における基準通貨となりますので、円建てや米ドル建て契約はベトナムドンに換算して記帳します。

2. 取引発生時の換算

取引発生時の記帳は、原則として取引日の為替レートによるベトナムドンへの換算額にて行います。また、取引日の為替レートではなく、一定期間の為替レートの平均値を用いて、その期間に発生した取引の換算を行うことも可能ですが、為替レートが著しく変動する環境下では認められませんので注意が必要です。

3. 貸借対照表項目の決算時換算

決算時に資産または負債として貸借対照表に計上される外貨建項目は、その内容に応じて決算日の為替レート(インターバンク市場での取引レート)での換算が必要となります。決算日の為替レートによる換算が必要な項目は貨幣性項目と呼ばれています。貨幣性項目とは、通貨及び売掛金・買掛金のように定まった通貨額により決済される債権債務を指します。貨幣性項目以外の非貨幣性項目は取引発生時の為替レートでの換算のままとします。

4. 換算差額の財務諸表への開示

当年度決算時の為替レートが過年度決算時または期中取得時の貨幣性項目の為替レートと異なる場合、当年度決算時の換算にて為替換算差額が発生します。決算時に発生する為替換算差額は、その後の決済時までは確定しない差額ですので、未実現為替差損益とよばれます。未実現為替差損益は、貸借対照表上の為替換算調整勘定に計上し、差損と差益を相殺した後の差額を損益計算書上の財務収益または財務費用に計上します。

5. 事業開始前の特例

法人設立後から事業開始までの間に発生した為替差損益は、事業開始までは損益計算書には計上しません。従いまして、その間に発生した為替差損益は、貸借対照表上の為替換算調整勘定に計上します。そして、事業開始までに取得した資産が実際の事業に使用されてから初めて為替換算調整勘定を償却していきます。償却額は損益計算書の財務収益または財務費用として計上し、償却期間は最大で5年間です。

今月のまとめ

  1. 外貨建取引:契約価額が外貨で表示される取引
  2. 取引発生時の換算:原則として取引日の為替レートで換算
  3. 貸借対照表項目の決算時換算:貨幣性項目は換算が必要
  4. 換算差額の財務諸表への開示:貸借対照表及び損益計算書に開示
  5. 事業開始前の特例:貸借対照表のみに開示

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