ベトナム ベトナム会計税務要点解説
[ベトナム要点解説] 外国契約者による長期プロジェクトに関する会計実務
1. PE(恒久的施設)
ベトナム税法におけるPEの定義のひとつに、建設、据付、組立等作業にかかる監督活動を6ヶ月あるいは3ヶ月以上(日越租税条約では6ヶ月と規定)行う場合は、ベトナムにPEがあるとみなされ、外国契約者税を主体的に申告納税しなければならない。
従って、ベトナムにおいて建設工事等を行う場合、PEに該当するかどうか確認する必要がある。
以下、PEに該当する場合の実務について説明する。
2. ライセンス取得
入札等、建設請負先の選定が終わり工事発注先と契約を締結後、まずContractorLicense取得手続きを行う。外国契約者として登録するためのライセンスであり、プロジェクトの規模によりハノイ建設省あるいはプロジェクトが行われる市・省の建設局から付与される。
Contractor License取得後、プロジェクトオフィスライセンスを取得する。プロジェクトオフィスライセンスは工事等のプロジェクトが行われる市・省の人民委員会から付与される。
その後、法人と同様に社印、税務コードを申請・取得するという手順である。
なお、工事の受注者としてコンソーシアム等、数社共同によるプロジェクト案件を契約した場合、そのコンソーシアムとしてライセンスを取得することも可能である。その場合は、コンソーシアムとして一つのライセンス、社印、税務コードを取得することになる。
3. 会計税務
ベトナムに恒久施設を持つ場合、税務申告方法は以下の二つから選択をする。
(1) VAS方式
ベトナム会計システムに準拠した通常の法人と同様に税務申告を行う。
- VAT 売上VATと仕入VATを相殺し、売上VATが多い場合は納税。仕入VATが多い場合は翌月繰越(一定の条件を満たすことで還付も可能)
翌月20日までに申告納税 - CIT 利益に対して25% 四半期末から30日以内に申告納税
(2) ハイブリッド方式
- VAT 上記VAS方式と同様
- CIT 売上に対しみなし税率を適用 売上発生後10日以内に申告納税(事前に税務当局に通知することで、月次申告に変更可能)
項目 | 税率 |
---|---|
一般サービス | 5% |
建設・据付・調査・監督 | 2% |
物品の販売 | 1% |
どちらを選択にするにしても、契約締結日から20日以内に管轄の税務局に通知する。またハイブリッドを選択する場合でもベトナム会計システムに準拠して会計処理を行うことが条件である。
契約終了後は、45日以内に確定申告を行う。法令上、監査は義務付けられてはいないが、確定申告があることから監査を受け会計処理、税務処理に誤りがないことを第三者に確認してもらうためにも監査を受けることを推奨する。