ベトナム ベトナム会計・税務 Q&A

[ベトナム 会計・税務] ベトナム公認会計士制度

Q. ベトナムでは、全ての外資企業は会社規模に関わらず法定監査の対象となりますが、公認会計士及び監査法人制度、法定監査の役割について教えてください。

A. 公認会計士は、監査及び会計の 専門家であり、独立の立場で法定監査を通じて財務書類に関する情報の信頼性を確保します。公正な情報を提供することにより、投資者や債権者などの保護が図られます。

1. 公認会計士

公認会計士(CPA: Certified Public Accountant) とは、監査及び会計の専門家であり、独立の立場での法定監査を通じて財務書類に関する情報の信頼性を確保します。企業の財務諸表に関する適正性を証明する法定監査業務は公認会計士のみが行える独占業務ですが、公認会計士は、その有する専門性から会計や税務のコンサルティング業務も行います。

2. ベトナム公認会計士

ベトナム公認会計士となるためには、ベトナム人またはベトナム居住の外国人でなければならず、ベトナムの監査法人での登録が必要です。独立の立場で公共の利益に資するため、専門家としての誠実性や法、経済、財務、会計、統計学などの豊富な知識も備えねばなりません。その独立性から、公務員が監査法人で働くことは認められません。各利害関係者の信頼に足る人物でなければなりませんから犯罪歴も認められません。会計や財務専攻の大卒者は、会計・財務分野での5年間の実務経験、高卒者であれば10年間の実務経験が必要です。

3. ベトナム会計士試験

公認会計士試験は1年に1回、7月から9月に行われ、その3ヶ月前までに試験日が公表されます。試験合格者には財務省発行の証明書が授与されます。外国人がベトナム公認会計士になるためには、上述2. の条件を満たし、ベトナム語での試験に合格するか、財務省の認定を条件に海外の公認会計士はその登録が認められます。違法行為により一度資格を剥奪された者は、再登録できません。

4. 監査法人

監査法人は、監査業務を組織的に対応するために公認会計士が共同で設立する法人です。法人代表者は公認会計士でなければならず、代表者を含め少なくとも3名の常勤公認会計士の登録が必要です。利害関係者からの損害賠償にも備え、十分な財務基盤を保つとともに、損害保険の契約締結も求められています。

5. 社会的責任

公認会計士および監査法人は、法定監査を通じ財務情報の適正性に関し意見を表明し、投資者や債権者など利害関係を保護します。監査といいますと、社内で行われる不正・背任行為などに関する調査である、いわゆる業務監査と混同されがちですが、法定監査は、財務情報の適正性を主題とするため、副次的に不正・背任行為が発見されることはあっても、その発見を主題としていません。

今月のまとめ

  • 公認会計士:監査及び会計の専門家であり法定監査は独占業務
  • ベトナム公認会計士:会計学などの学歴や実務経験が必要
  • ベトナム会計士試験:外国人もベトナム語にて受験可
  • 監査法人:監査業務の組織化に対応
  • 社会的責任:監査意見を通じ利害関係者を保護

NAC国際会計グループ ベトナム事務所
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