ベトナム

世銀ベトナム経済への見通し

(世界銀行・東南アジア環太平洋戦略・オペレーション部長 サラFクリフ)

ベトナムは経済のグローバル化に対応してきた結果、現在ではGDPの70%が輸出に占められています。

他方、ベトナムの金融面での発展は初期段階であるため、商業銀行は現在のグローバルな経済危機によって生じた不良資産を保有していません。また、不良資産を保有している外国銀行の支配による影響もありません。従いまして金融危機の直接的影響は受けていませんが、貿易を通した影響がでている状況です。

また重要な点はベトナムはこのグローバルな金融危機のほぼ1年前に自身の経済的な混乱に直面しました。WTO加盟による国の繁栄に対する期待から大量の資本が流入し、資産価格はバブルとなりインフレ及び貿易赤字を生み出しました。

政府はこの混乱に対応するための政策を実施し、ほぼ6ヶ月間継続してその安定化を図りました。その結果、グローバル危機の影響も限定的となったのです。

確かに重大な経済の失速を経験することになるでしょうが、それは危機と呼べるものではありません。GDPの大半を輸出が占めるのは事実です。しかし、ベトナムの生産者は競争力があり才略に長けています。結果として、同地域の他国に比べより緩やかな失速にとどまっています。

国際機関は2009年の成長を3.5%から5.5%と予測しています。ベトナムの潜在能力からは明らかに低い成長ですが、世界経済の影響下にあっては堅実な成長ではないでしょうか。(原文