シンガポール シンガポール会計・税務・監査の基礎知識

[シンガポール会計・税務] 第5回 シンガポールの法人税について

所得税法第43条により、シンガポールの標準法人税率は17%です。

ただし、以下の部分免税制度があります。

1. 通常の部分免税(所得税法第43(6)条)

課税所得のうち、

  • 最初のS$10,000:75%免税
  • 次のS$190,000:50%免税
  • S$200,000超:標準税率17%

2. 新設企業向け免税制度(所得税法第43(6A)条)(通称、スタートアップ税制)

  • 設立後最初の3賦課年度に適用(設立初年度を12か月以上の期間とした場合、3賦課年度目は適用されず、2賦課年度のみに適用となる)
  • 適用要件、
    • シンガポール法人であること
    • シンガポールで設立・居住していること
    • 対象年度中、個人株主が最低1名で20%以上保有していること
  • 課税所得のうち、
    • 最初のS$100,000:75%免税(この率で免税される範囲が通常の法人よりも広い)
    • 次のS$100,000:50%免税
    • S$200,000超:標準税率17%

3. グループ・リリーフ制度(所得税法第37C条)

法人間で損益通算できる、以下の制度があります。

要件

  • シンガポール法人間で75%以上の株式所有関係があること
  • 同一会計年度であること

適用対象

  • 当期損失
  • 未使用の資本控除
  • 未使用の寄付金

4. 欠損金の取扱い(所得税法第37条)

1. 繰越

  • 株主の50%以上の同一性が維持されている限り、無期限で繰越可能

2. 繰戻

  • 直前1年間に限り可能
  • 上限額あり

5. キャピタルゲイン

  • 原則非課税
  • ただし、以下の場合は通常所得として課税
    • 事業として行われる取引から生じる利益(Revenue Nature)
    • 短期売買による利益
    • 不動産開発・売買事業からの利益

なお、この情報は2024年時点のものです。税制は、毎年の予算案で改正される可能性があるため、最新の税率や制度について、税務専門家に確認することをお勧めします。