シンガポールには、現在は、相続税・贈与税・遺産税ともにありません。
相続税対策のために、シンガポールに移住された際に、まずは出国税が課され(出国税については、記事「東南アジア移住ガイド:日本出国時の税務と移住要件、その他注意点 [1]」をご覧ください。)、その後、税務上のシンガポール居住者となったあとも、日本人の場合は、一定の場合、日本の相続税・贈与税の対象となることがありますので、注意が必要です。
以下が、贈与、相続税について、日本の制度とシンガポールの制度の比較の概要です。
贈与税・相続税(日本と外国の比較)
- 日本では、日本人同士の日本の資産に関する贈与や相続において、贈与者・被相続人及び受贈者・相続人が10年以上日本の非居住者である場合、税は課されません。
- シンガポールでは2008年2月15日以降、遺産税が廃止され、贈与税もありません。マレーシアも贈与税や相続税はありません。
遺産管理(日本法と英米法の違い)
- 日本では、人が亡くなると遺産は自動的に相続人の共有財産となり、裁判所の介入なしに分配されます。
- 英米法下では、遺産は自動的には承継されず、人格代表者が裁判所の許可を得て遺産の管理と分配を行います。
プロベート – シンガポールの遺産相続手続
- シンガポールでは、遺産分割協議書だけでは相続できません。裁判所に対してプロベートの申立てをし、「Grant」という証明書を取得する必要があります。
- 遺言がある場合は、遺言執行者がプロベートを申し立てます。遺言がない場合は、家族が遺産管理人としてプロベートを申し立てます。
プロベート不要な契約・財産
- 資産の種類別に、相続手続の対象から除外する方法があります。詳細は、割愛いたします。
個別のケースでアドバイス内容が異なりますので、専門家にご相談 [2]されることをおすすめいたします。