シンガポール 監査
シンガポール・会計監査の免除について
シンガポールでは原則監査が必須
日本では、会社法上の大会社(資本金5億円以上、または、負債総額200億円以上)における会社法監査、もしくは、上場企業に対する金融商品取引法に基づく監査は必須とされ、これ以外にも、REITや信金信組、一定規模以上の学校法人、医療法人などに会計監査が要求されます(なお、監査を実施できるのは、公認会計士または監査法人に限定されています)。
一方で、シンガポールでは、原則としてすべての法人が、会計監査を受けた決算書を株主総会にて承認を受け、ACRAに登記する必要があります。監査が必要ない場合に比べて、決算書の確定に時間やコストがかかり、シンガポール法人の下に子会社がある場合、シンガポール法人にて連結財務諸表作成義務及び連結監査を受ける義務が生じる場合がありますので、注意が必要です。
会計監査の免除規定
ただし、ある一定の要件を満たした場合には、監査が免除されます。
- 小会社に該当する場合
- 休眠状態にある場合
に、監査が免除されることとなりました。
小会社の条件
会計監査免除規定を適用する(=小会社の条件を満たす)には、事業年度を通じて非公開会社(定款による株式譲渡がある)であることと、以下の3つのうち2つ以上を満たすことが条件となります。
- 年間売上高が、SGD1,000万以下(約1.1億円以下)
- 総資産が、SGD1,000万以下(約1.1億円以下)
- 決算日時点の従業員数が50名以下(フルタイム従業員のみ対象)
*関連会社を有する場合、単体ベースと連結ベースの両方で要件を満たさなければなりません。
大きなグループの子会社などは、通常、多くの場合、監査が免除されません。また、売上が小さくても総資産や従業員規模が大きい会社も、通常、多くの場合、監査が免除されません。
監査免除可否の判断期間
小会社に該当するか否かは、対象事業年度の直前の2事業年度(前年と前々年)で上記の「売上、総資産、従業員数」の2つ以上を満たすか否かで判定をすることになります。
- 2期連続で要件を充足 → 翌事業年度から監査免除
- 2期連続で要件を充足しない → 翌事業年度から監査必須
なお、直前の2事業年度がない、新設法人では、監査免除の判定は、事業年度ごとに判定し、判定した事業年度について、監査免除または必須となります。
監査免除要件の判定は、原則として「2期連続で要件を充足する場合は、翌期から監査免除」と「2期連続で要件を充足しない場合は、翌期から監査必須」で判定することとなりますが、
法人設立後、第1期及び第2期については、どちらかの事業年度で監査免除ステータスを獲得できれば、その事業年度から監査免除が適用され、いったん監査免除となると、翌期から「2期連続で要件を充足しない場合には、翌期から監査必須」により判定する、ということになります。