香港

2018年香港税務 ファンドに対する利得税免除(改正)条例草案が官報に掲載

香港政府は、香港で運営されている適格ファンドに対し、利得税免除優遇措置を設置するため、2018年税務(ファンドに対する利得税免除)(改正)条例草案(以下「当該改正条例草案」)を本日(2018年12月7日)付で官報に掲載した。

政府スポークスマンは、「当該改正条例草案は、私募形式で販売されるオフショアファンドに適用される香港の税制措置に、他のファンドを区分する特徴があることに関する欧州連合理事会(以下「EU」)の懸念を払拭し、香港で運営されているすべてのファンドに対する公平な競争条件を創出することによって、香港の税制措置の競争力を向上させることを目指している。これにより、香港の国際的な資産並びに資産管理センターとしての地位を強化され、香港における関連専門サービスの需要を伴い、我々香港の金融サービス全体の発展を促進、その利益を享受することとなる」、と述べた。

加えて、「上述の目的を達成するために、我々は、一定の要件を満たすことを条件として、香港で運営されるすべてのファンドが、その構造、中核となる経営管理の場所、規模や目的にかかわらず、特定の資産における運用取引に対する利得税免除を享受することができるよう、税務条例(第112章)(以下「IRO」)に新たに独立した規定を導入することを提案している。さらに、ファンドは海外及び地場の民間企業への投資から発生する所得に対する利得税の免除も享受できる」、と説明した。

さらに、政府スポークスマンは、「租税回避のリスクを軽減するために、民間企業に投資する際、民間企業が保有する不動産や諸資産、民間企業へのファンドの投資保有期間など、悪用を防止するための対策を導入する。その上、居住者に対する現行の租税回避防止規定は保持される。総括すると、この提案は、市場の発展を促進することと、免税の乱用を防止することのバランスを取るものである。必要な修正を除いて、既存の規定は保持される予定である」、と補足した。

現行のIROの下では、オンショアでもオフショアでも、公募形式のファンドは利得税が免除されている。一方で、私募ファンドについては、オフショアファンド及びオープンエンド型私募投資ファンドオンショア投資法人のみが、利得税を免除されている。他のオンショアの私募ファンドは、私募形式のオフショアファンドのように、利益に対する非課税を享受することはできない。EUは、香港のオフショアファンドに適用される税制措置には他のファンドを分離する措置が含まれているため、これに問題があると指摘した。香港政府は、国際的な税務協力の要請に応じる形で、ファンド業界に適用される税制上の優遇措置を見直していくと発表していた。

当該税務条例改正草案は、2018年12月12日に立法会にて発表される予定である。

原文、2018年12月7日更新)