インドネシア
インドネシア・会社関係書面の保管とデジタル化・破棄
世界的にデジタル化/電子化/DXなどの潮流は、インドネシアにも該当し、一部企業においては電子データのみを補完し原本を補完しないという取り扱いを行っている会社もあります。また、各種書面をデジタル化してスキャンして保管するサービスなどを提供する会社もあります。
本稿では、会社書面を保管する期間について各観点から案内します。
税務の観点からは、会社書面は5年以上は保管するべきなります。税務時効が5年であることから、5年以上前の期については指摘を受ける可能性がなく、指摘を受けたとしても5年を過ぎていることを理由として抗弁することが可能であることから、少なくとも実務上、会社税務署面は5年以上、原本保管をすべきとなります。税務署によっては原本を求めることから、原本保管が望ましいと思われます。
法務の観点からは、10年という規定が会社文書に関する法律で定められています。旧商法では30年という期間があったものの、97年に改正のうえ、10年となりました。ここでは、会社財務会計に関する書面として例えば帳簿や証票などがこの規定に該当します。これら以外の書面は、会社の判断で利用価値に応じて破棄することができます。ただし、法務登記書面などの重要書面については、法務確認や銀行関係で原本の提示が必須な場合があることから、原本を破棄すべきではないものとなります。
労務の観点からは、労働債務の時効の関係から、可能な限り保管をしておくべきかと思われます。取引関係と異なり、労務関係は雇用契約書などの人事書面と給与計算データとなる事が多いですが、特に退職時に債権債務の確認などがされていない場合や、過去に強制保険の未加入期間がある場合などには、退職後に争いとなる場合を考慮して、破棄すべきではないものと考えられます。
また、デジタル化についての規定はないものの、会社の判断でデジタル化することが可能です。デジタル化・破棄の際には、会社としてデジタル化、破棄する書面についての経緯・議事録や、会社として保管期間を定めていることを証拠として残しておくことが必要となります。