インドネシア

インドネシア・解雇規制について

インドネシアにおいては、他国と比べて労働法で従業員の権利が強く保護されています。その影響は、労働法の解雇規制で色濃く表れています。現行の労働法(2003年13号)での解雇規制概要は下記の通りです。

契約社員(期間の定めのある従業員)は、契約期間満了前で解雇する場合には契約満了までの賃金を支払う事で解雇が可能です。

正社員(期間の定めのない従業員)は、本人能力不足が原因であったとしても一方的解雇は認められていません。原則として会社が解雇を行う場合には、従業員と会社間の合意が無い限り、労働裁判所の決定に基づく必要があります。

会社経営状態の悪化による人員整理・整理解雇の場合であっても、原則として従業員の解雇を行う事は難しく、解雇が認められたとしても退職金の支払いが義務付けられます。労働裁判所の決定の前には、二者間協議、労働局を交えた三者間協議、を経る必要があり、その間も給与を支払い続ける必要があることから、正社員の解雇(整理解雇・人員整理)は、企業にとって利用しにくいものとなってます。

労働法では、「労働者の自己都合退職」の場合には、従業員と会社間での合意によって処理することが法令上、認められています。この規定に基づき、人員を削減する場合、整理解雇ではなく退職勧奨を行い従業員と会社間で自己都合退職扱いで退職する旨の合意をして退職する形をとるのが一般的です。この場合、退職金規定については会社と従業員間の合意で決定することが可能ですが、一般的には定年退職の規定を準用して退職金を計算することが一般的です。

インドネシアでは労働法が労働者に有利な規定となっていることから、雇用がリスクとなっています。労使紛争を避けるためにも、就業規則と雇用契約の改定アップデートが必要です。また、労働法制は2020年年初から審議しているオムニバス法案にも改定案が示されており、法改正の可能性があることにも、注意を払う必要があります。