中国 中国会計税務

[中国会計] 中国の国家統一会計制度(3)-会計計算

会計計算の前提は、証憑や帳簿等及びその作成の基礎となる会計資料の質が保証されていることです。『税収徴収管理法』など税収法規にも帳簿等の設置や保存、財務会計制度や使用する会計ソフトの税務局への届け出に関する規定がありますが、ここでは会計制度上の規定について紹介をいたします。

会計証憑

会計証憑は会計計算において重要な資料であり、その記載内容から訂正、チェックや保管の方法、遺失した場合の対処方法などに至るまで詳細に規定されています。特に経済事象の発生、完成状況の根拠を示す原始証憑については、「外部から取得した証憑には発行元の公章(法的効力及び用途が特定されている会社公印、財務専用印等)が押されていなければならない」、「複数枚で一式となる領収証などについては、複写紙を使用し、無効とする場合は無効のスタンプを押して一式全て保存し、廃棄してはいけない」等その真実性や完全性を確保するための審査照合手続が厳格に定められています。 

会計帳簿

作成すべき会計帳簿は、元帳や仕訳日記帳など日本で通常作成されるものとほぼ同じです。会計計算には会計ソフトを使用するのが一般的ですが、使用するソフトウェアは、国家統一会計制度の規定に合致するものでなければならないとされています。よって、会計ソフトを使用して作成した帳票類は規定に合致しているものとなります。

会計帳簿

財務会計報告は、年度、半期、季(四半期)、月次で行われ、以下の四表一注と呼ばれる報告表を作成しなければなりません。財政部や税務部門など外部に提出する報告の書面形式は規定されていますが、上述の通り、会計ソフトを使用すれば規定に合致した形式で作成されます。提出する報告書には、企業の代表者と会計責任者の署名捺印が必要です。

  1. 資産負債表(貸借対照表)
  2. 利潤表(損益計算書)
  3. 現金流量表(キャッシュフロー計算書)
  4. 所有者権益変動表(株主資本変動計算書)
  5. 附注(注記)

※小企業会計準則による場合及び年度以外の報告では作成不要。

会計年度

西暦1月1日~12月31日と規定され、外商投資企業が外国の親会社の会計年度に合わせることはできないとされています。

記帳本位通貨

会計帳簿の記帳は人民元で行います。米ドルや日本円など人民元以外の一種類の通貨を本位通貨に選択して記帳をすることはできますが、会計報告の作成に当たっては人民元に換算しなければなりません。

会計記録文字

中文と規定されています。外商投資企業等においては1種類の外国文字を併用できますが、単独での使用は認められていません。

定期的な財産実査

現金や固定資産等については、定期的な帳簿記録と現物の照合が要求されています。

会計保存書類の管理

会計保存書類(中国語:档案)の保存期限や廃棄処方法が定められており、企業の会計部門がファイリング、分類して1年間保管した後、専任の管理部門または責任者が保管します。保管期限は、年度財務報告・会計書類保管台帳・会計書類処分台帳は永久保存、現金及び銀行勘定の日記帳は25年、会計証憑や帳簿類は15年、などとなっており、税収規定による帳簿書類の保存期限(10年)とは異なります。