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税関の保税監督管理区域について(2)
前回は、税関の保税監督管理区域と呼ばれる、いわゆる保税区の変遷と、その内加工業務に特化した輸出加工区について紹介しました。今回は、物流機能を持つ区域について紹介します。
物流機能を備えた各種保税区域は、外国企業の貨物を含めた保税貨物等を保管できる点と、貨物に対して実質的な変化を伴うような加工を行うことができない点で共通しています。
保税倉庫と輸出監督管理倉庫
保税物流業務の中で最も初期的に発展したのが、保税倉庫と輸出監督管理倉庫(=監管倉庫)で、前者は輸入貨物、後者は輸出貨物を主に取扱います。
保税倉庫には輸入された加工貿易用の貨物、中継貨物(海外より輸入され、再度第3国へ輸送されるような貨物)、外国企業の一時保管貨物(VMI等に対応する)、その他の税関手続き未了の貨物を保管することが可能と規定されています。
輸出監管倉庫は、輸出通関手続きが既に終了した貨物を保管する専用倉庫と定義されており、原則的には国内の貨物(保税・非保税を問わず)を搬入する際、輸出通関を行い、その後増値税の還付申請手続きが行えるようになっています。輸出貨物を一時保管すると同時に、輸出貨物の包装材などを海外から輸入し流通加工に使用することができ、海外向けの輸出貨物に対するディストリビューションセンターとして機能することができます。
保税倉庫も輸出監督管理倉庫も、閉鎖され囲われた地域にゲートによる通関地点を設けるのではなく、企業と同じようなイメージの税関のネットワーク管理が行われます。
保税物流中心
保税物流中心はA型(1社が運営)とB型(多数の物流企業が運営)があり、いずれも設立には税関総署の認可と、税務局や外貨管理局などの総合験収が行われた後、運営を開始することができます。保税物流中心のニーズは各地にあり、設立申請は多数挙げられていると聞かれますが、認可機関は全国の物流総量の分布から順番に認可するとしていることと、外貨や税務など他の政府機関の同意・協力も必要であるため認可がおりにくい状況と思われます。
保税物流中心では貨物の保税保管と、流通加工、国際調達・配送業務、中継貿易等を行うことができ、特に国内の保税・非保税貨物を一旦搬入し、保税貨物として保管し、再度保税・非保税貨物として再輸入するといった国内での保税物流業務を行うことができます。但し、検品業務や修理業務を行うことはできません。また、センター内では商業小売などの施設を設置することができないとされています。保税物流中心以降の保税区域内の企業は物流か貿易のいずれかに機能を分けることとされています。
保税物流園区
保税物流園区は、全国15か所の保税区のうち、今のところ海港と保税区を隣接させるか、既存の保税区の企画区域内において、国務院に認可されて設立された区域です。2003年12月に上海外高橋保税物流園区を認可設立して以来、今年に入り福州保税物流園区が認可され、全部で9か所となりました。
保税物流園区内の貨物に対しては、流通加工のほか、物流センターA/B型では認められない展示業務・検査・修理作業が認められています。また、区内には貿易会社も登記することができ、区内での貨物の譲渡が可能です。国内からの貨物の搬入に際して増値税の還付申請を行うことができ、国内の保税物流に機能を発揮することができます。例えば、増値税還付や外国企業が貿易利益を得るのが目的で、国内の貨物(特に保税貨物)を輸出し再度輸入しているケースがありますが、保税物流園区はこの海外に替わる機能を果たすことができます。
その他の保税区域
各種保税区域がその機能ごとに整備されてきたことから、これらの機能をあらためて統合した区域の設立運営が目指されている場所があり、保税港区、総合保税区といった名称で呼ばれています。また珠海にあるクロスボーダー工業園区も、生産加工、物流、貿易が総合的に行える保税区域として認可設立されました。保税区域は通関業務だけではなく、外貨・税制上も一般地区とは異なる制度が設けられ、国内の保税物流や保税加工の発展に機能発揮できるよう企画されています。その優位性を十分検討し活用の機会を増やしていくことが期待されます。
(図)保税物流園区のビジネスモデル
(以上)
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