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[華南ビジネス] 東莞市の法人化実務対策(2)

前回に続き、東莞市の法人化実務対策の動向を紹介します。

東莞市では、来料加工廠の法人化を促進する様々な措置を取っていますが、措置の内容を説明するセミナー活動も盛んに行っています。他の市に比べて、東莞市が積極的に各部門との連合での通知を発布し、対外的なセミナー活動を行っている理由としては、やはり来料加工廠の数が7000社あまりといわれ、他地域に比べても圧倒的に多く、今年の法人化実績件数が目標1,000社のうち11月末で500社以下であることや、また、市の下の行政単位である鎮での運用が異なる場合があることから、市が指導的な役割を果たさなければならないことなどが考えられます。

12月4日には、香港工業総会により、東莞市厚街鎮において、香港生産力促進局と珠江デルタ工業協会と合同にて香港企業の向上と転換、新たなビジネスチャンスに関するセミナーが開催されました。当セミナーでは、市の対外経済貿易合作局の方見波副局長が東莞市の来料加工廠法人化に関する手続きの優遇措置について簡単に説明しました。また、国内販売を展開した企業や、政府の支援策に基づいて、支援金を申請、獲得した企業などが自社のケースの紹介を行っており、政策説明よりも実際の国内市場への取り組みについて議論されていました。

一方、12月8日には、日系企業向けのセミナーも行われました。第5回日系企業と東莞市政府間の連絡会議の中で、JETRO広州事務所より司会進行が行われ、日系企業からの数多くの質問が、通訳を経て、東莞市対外経済合作局や、黄埔税関などの責任者により一つ一つ回答され、時間を要しましたが、現時点の政策や、問題点に対する市対外経済合作局の取組の状況について具体的な説明が行われました。
 
8日日系企業向けセミナーの中で、対外経済貿易合作局の方見波副局長より、「来料加工の法人化に対し、国は特別の優遇措置を講じているので、この機会をとらえて法人化を実行してほしい。東莞市は、来料加工廠の法人化の実際の手続き上の困難点について把握した状況に基づいて、国や関連の政府機関へ質問して企業へフィードバックしたり、協力を要請したりする調整業務を行っている。企業の質問や問題点について、対外経済貿易合作局へ遠慮なく問い合わせ・申し入れてほしい」との発言がありました。

同局が取り組んでいる点としては、同一場所の法人化の対象を拡大し、同一投資者の来料加工廠と現地法人が併存していて、来料加工廠を既存の現地法人に合併するような場合にも、同一場所の法人化への優遇措置と同様の手続きが採れるようにするべく調整中との回答でした。また、税関監督解除済み設備の現物出資は現在のところ行うことができないが、改善に努力するとのことでした。一方、法人化後のサービス費の徴収については、農民への土地の賠償金や都市インフラ整備の資金として必要な費用であるため、鎮ごとに異なる金額のサービス費の徴収を行っているので理解を請う、但し、領収書(発票)を発行しない鎮については発行するよう指導していくとのこと。法人化後にも来料加工を継続できるかどうかについては、鎮の外経局が同意すれば、市は認めるという、通知に記載されたのと同様の表現に留まっていました。

同日は、同局の政策概要に関する資料の配布がありましたが、その中で加工貿易転換に関して行政費用の補助があることが言及されています。法人の設立登記及び変更登記に際して発生する行政費用、証書発行手数料について全額を補助し、験資などの費用について、50%を補助するといったことが記載されています。

(以上)