香港

香港税務局による2023-24年度税務申告書の発行及び申告に係る取決め

香港税務局(Inland Revenue Department、以下「IRD」もしくは「当局」)は先日(4月2日)、2023/24年度利得税申告書を約220,000通、資産所得税申告書を約120,000通、並びに雇用主支払報酬申告書を約310,000通発行した。納税者及び雇用主は、関連する税務申告書の発行日から、1ヶ月以内に申告手続を完遂する必要がある。税務代理人を選任している場合、2023年4月1日から2024年3月31日の間に決算期を迎える法人の税務申告書の提出期限は、当局のウェブサイトにアップロードされている「全体延長承認通達(Block Extension Letter)」に詳細が記載されている(※同記事末尾参照)。続けて同税査定年度の個人所得税申告書約244万通が5月2日に発行されており、その申告期限は6月3日までの1ヶ月以内であるが、非法人事業の個人事業主の場合は、3ヶ月間の猶予期間が認められ、申告期限は8月2日である。また、「税務易(eTAX)」経由で申告する場合は、自動的に1ヶ月間の延長が認められる(一般納税者の場合は7月3日、個人事業主の場合は9月2日が申告期限となる)。

一般の人々は、税務申告書の記入方法に関する一般的な質問と回答について、当局のウェブサイトにアクセスして閲覧することが可能である。当局は、税のデジタル化を促進し、税務申告の効率性、信頼性並びに正確性を高めるために、電子税務申告の機能を段階的に強化している。納税者は、eTAXを通じて電子税務申告することが奨励され、詳細はウェブページでご覧頂ける。雇用主支払報酬に係る税務申告書の電子税務申告に関するガイダンスもまた、当局のウェブサイトElectronic Filing of Employer’s Returnから入手可能である。eTAXでは、個人が香港政府の「智方便(iAM Smart)」デジタルサービスを使用してログインの上、電子税務申告書に署名することが可能である(当該署名手続きは、デジタル署名機能を備えたiAM Smartアカウントの所有者のみが利用可能である)。サービスの詳細については、iAM Smart へアクセスして頂きたい。

昨年、当局は、納税者が税務申告書を添付書類(財務諸表(監査報告書)及び利得税計算書を含む)とともに、インライン拡張可能事業報告言語(Inline eXtensible Business Reporting Language、以下「iXBRL」)形式で電子申告できる、新たな利得税申告書電子申告モデルを開始している。個人、法人並びに企業を含む納税者が、必要なiXBRLデータファイルを作成しやすくするために、当局は、税務局タクソノミーパッケージ(タクソノミー)及び税務局iXBRLデータ準備ツール(ツール)を提供しており、これらは当局のウェブサイト New Era of Profits Tax Filing – iXBRL Filing から無料でダウンロード可能である。当局は今年、当該タクソノミー及びツールを更新し、ロールオーバー機能の追加や、テンプレートツールを使用するための総所得基準を200万ドルから500万ドルに引き上げるなど、最適化している。同時に、タクソノミー及びツールの繁体字中国語版も開始され、納税者はこれを使用して、繁体字中国語でまとめられた財務諸表と利得税計算書をiXBRLデータファイルに変換可能である。

納税者は、電子申告で税務申告書を提出することが推奨されている。当該タクソノミー及びツールの新たなバージョンと強化された機能の更なる詳細については、専用ウェブページ New Era of Profits Tax Filing – iXBRL Filing をご覧頂きたい。iXBRL申告要件と当該ツールの使用に関する照会について、納税者はixbrl_reporting@ird.gov.hkまでメールで連絡して頂くか、IRD のウェブサイトの e-Appointment にアクセスして、電話での照会のため、特定の時間枠を事前に予約して頂くことが可能である。また、税務申告書の記入に係る質問がある場合、当局のウェブサイトe-Seminar for Individual Taxpayersにアクセスして「e-セミナー」の資料を閲覧することができる。「Q&Aコーナー」で質問することも可能で、当局は日曜と祝日を除く5月2日から6月2日まで、電話問合せホットライン187 8022に応対するスタッフを増員し、営業時間を平日は午後7時まで、土曜日は午前9時から午後1時まで延長する。

当局は昨年、電子利得税申告の新たなモデルを開始し、法人及び事業主がeTAXを通じて財務諸表(監査済み)や利得税計算書などの添付書類とともに電子申告することを可能とし、2024年4月にeTAXの電子利得税申告の更新版を開始し、機能の向上及び強化を行ったと強調した。当該利得税申告書の電子申告の詳細については、同局のウェブサイトNew Era of Profits Tax Filing – Electronic Filing of Profits Tax ReturnNew Era of Profits Tax Filing – iXBRL Filing 並びにCompletion of Profits Tax Returns, Supplementary Forms and Other Formsをご覧頂きたい。

当局は、納税者及び雇用主に、税務申告書を郵送する際、税務申告期限を確実に遵守するために、十分な郵便料金を支払うよう改めて注意を喚起している。郵便料金が不足している郵便物については、当局では受付けられない。郵便料金表は、香港郵便のウェブサイトでご覧頂ける。

2024/25年度の予算案で提案された2つの税制措置により、2023/24年度の利得税、給与所得税並びにパーソナルアセスメントによる税額に対し、3,000ドルを上限とする100%の減税が実施され、一方で2024/25年度からの給与所得税及びパーソナルアセスメントにおける二段階標準税率制度が導入される。さらに、2023年度の施政方針演説では、新生児と同居する納税者に対する住宅ローン金利と住宅家賃の所得控除上限額が引き上げられることが発表され、2024/25年の税査定年度から、2023年10月25日以降に生まれた子供と同居する給与所得税及びパーソナルアセスメントによる課税の対象となる納税者に対し、住宅ローン金利または住宅家賃の所得控除上限金額が、従来の100,000ドルから120,000ドルに引上げられる。

納税者は通常通り、2023/24年度の税査定年度の税務申告書を作成し、申告を完了するだけでよく、当該減税は査定税額に反映される。当局はまた、提出された情報を元に、納税者の2024/25年度の予定給与所得税の計算にも新たな水準の住宅ローン金利及び住宅家賃所得控除を適用する予定である。また、2024/25年度以降の給与所得税及びパーソナルアセスメントにおいて、生殖補助医療サービスに関連する費用の所得控除が、年間100,000ドルを上限として提供される。香港政府は当該措置を実施するための立法プロセスを開始している。

さらに、当局が送信したと称する詐欺メールに注意するよう呼び掛けた。当局は指定された電子メールアドレス(e_alert@ird.gov.hk)のみを使用して、納税者に納税状況を確認するためにeTAXアカウントにログインするよう通知するのみで、個人情報、銀行情報などの口座情報やクレジットカード情報の提供を求めるためのハイパーリンクは含まれていない。納税者は警戒し、不審な電子メールを開かないようにすべきである。

なお、当局は香港企業や専門家が業務で正に現在直面している難局を認識し、税務代理人によるIRDへの通知を条件として、2023/24年度の利得税申告書の各税務申告期限は下記の通りとしています:

  1. 1. 2023年4~11月が決算期(N Code Cases)である企業; 2024年5月2日(2024年3月22日付の通達により、例年の5月2日もしくは3日から変更無し)
  2. 2. 2023年12月が決算期(D Code Cases)である企業; 2024年8月29日(2024年7月25日付の通達により、例年の8月15日から8月29日まで、2週間の期限猶予が付与されています)
  3. 3. 2024年1~3月が決算期(M Code Cases)である企業; 2024年11月15日(2024年3月22日付の通達により、例年の11月15日から変更無し)、並びに
  4. 4. 2024年1~3月が決算期(M Code Loss Cases)で赤字である企業; 2025年1月31日(2024年3月22日付の通達により、例年の1月31日から変更無し)。

原文:IRD issues profits tax, property tax and employer’s returns for 2023-24、2024年4月2日更新

原文:Inland Revenue Department issues tax returns for individuals、2024年5月2日更新