香港 個人所得税
香港・慈善寄附金及び免税慈善団体
認可されている慈善寄附金及び免税慈善団体のリスト
給与所得税、パーソナル・アセスメントまたは利得税(法人・個人事業)の課税対象となる個人もしくは企業の寄附者は、税査定年度の基準期間中において拠出された、認可されている慈善寄附金の総額に対して、ケースバイケースで課税対象所得もしくは利益の35%に相当する金額まで、所得控除を申請することが可能である。なお、寄附金総額は100香港ドルを下回ってはならない(税務条例(Inland Revenue Ordinance、以下「IRO」)第16D条及び第26C条)。
「認可されている慈善寄附金」とは、IRO第88条に基づき税金が免除されている公共性のある慈善団体もしくは信託への、または慈善目的での香港政府への金銭の寄附を意味する(IRO第2条)。
一般の方々は、IRO第88条に基づき税金が免除されている慈善団体及び慈善信託のリストを参照し、拠出された寄附金が所得控除の対象となるか否かを確認可能である。
公共性のある慈善団体及び信託に対する税務上の指針
公共的な性格を持つ慈善団体及び信託には、IRO第88条に基づき、税金が免除される可能性がある。税務局は、一般向けに「公共性のある慈善団体及び信託に対する税務上の指針」を発行している。
税務条例第88条に基づき付与される免税認定に係る申請手続き
慈善団体は、法規に沿った書面(ガバナンス文書)による申請を通じて設立される必要がある。ガバナンス文書とは、慈善活動の目的、統治団体の構成、会議の開催方法等、慈善団体の運営に関する重要な規定を定めた正式な文書である。慈善団体が採用する運営方法の種類は、慈善団体が選択する法的構造によって異なる。組織の種類に応じて、ガバナンス文書は、各々異なる呼称で管理されるケースがある(有限株式会社の場合は定款、法令によって設立される機関の場合は法例、信託の場合は信託証書、または協会の場合は規約)。
慈善団体のガバナンス文書は通常、その設立の慈善目的を正確かつ明確に記載する条項と、その他特定の重要な条項を含める必要がある。ガバナンス文書への慈善目的記載に関する詳細については、「ガバナンス文書への慈善目的記載に関するガイダンス」を参照頂きたい。重要な条項の例については、「慈善団体のガバナンス文書に一般的に含まれる条項の例」を参照頂きたい。
IRO第88条に基づく免税慈善団体としての認定を希望される組織は、関連する申請書を提出する前に「公共性のある慈善団体及び信託に対する税務上の指針」を参照されることを推奨する。申請の際、対象となる組織は次の申請書に必要事項を記入し、そこで指定されている書類を当局へ提出する必要がある。
関連する申請書は、香港郵便局私書箱132号税務局局長宛に提出する必要がある。当該申請書に不足がある(添付書類が不十分である申請書を含む)場合は、その申請が処理される前に、申請者によるフォローアップのために一旦返送される。
当局は、必要となる全ての関連情報が申請書に添付されており、それ以上の情報及び資料が要求されない場合に限り、IRO第88条に基づく免税ステータスの認可申請書の受領日から4ヶ月以内に回答すべく努める。
免税慈善団体の潜在的な利得税債務に対する責任
IRO第88条の但書は、慈善団体が商取引もしくは事業を行う場合に、以下の条件をすべて満たす場合に限り、その商取引もしくは事業から稼得される所得に対し、利得税が免除されると規定している:
(1) 所得は慈善目的のみに使用される;
(2) 所得の大部分は実質的に香港外では使用されない; 並びに
(3) (a) 商取引もしくは事業が、明文化されている慈善活動の目的を実際に実践する過程で実行されている; または、
(b) 商取引もしくは事業に関連する仕事は、慈善団体が設立された目的となる利益のために実行する人物によって遂行される。
従い、慈善団体が何らかの商取引もしくは事業を行っている場合、その商取引もしくは事業に起因する利子収入並びに投資収益(不動産賃貸及びホテルサービス、またはケータリングサービスの提供等)を含む商取引もしくは事業から稼得される所得は、IRO第88条の但書に規定されているすべての条件を満たす場合に限り、利得税が免除される。これを満たさない場合、香港で創出された、または香港で稼得された商取引もしくは事業の所得は、IRO第14条第(1)項の下、利得税が課されることとなる。
慈善団体の商取引もしくは事業が、その定められた目的を実際に実践する過程で実行されているという条件に関しては、その商取引もしくは事業が、慈善団体の明文化された目的の達成に直接関連している必要がある。慈善団体の定められた目的の達成に直接関連しない募金活動(慈善団体による特定のサービス対象に該当しないテナントへの不動産の賃貸等)は、但書の規定を満たすことはできない。慈善団体が、その商取引もしくは事業から稼得された所得を、その慈善目的に充当するという事実だけでは、IRO第88条に基づく全ての条件が満たされたことを証明するのに十分というわけではない。それよりも、その商取引もしくは事業の性質、並びにそれが慈善団体の目的を直接達成するものであるか否かが、その商取引もしくは事業が慈善団体の定められた目的を実際に実践する過程で実行されるか否かの判断に影響を及ぼす。その上、慈善団体の目的(つまり、慈善団体が達成すべく設立された際の慈善目的)と、慈善団体の運営を支援し、付随的にその目的の達成を促進することができる権限(例えば、不動産賃貸を行使する権利等)との間には、明確に線引きされるべきである。慈善団体の目的と、その目的を達成するために行使される権限は、別々の問題である。
詳細については、当局のウェブサイトにて入手可能な「公共性のある慈善団体及び信託に対する税務上の指針」の第20項から第49項を参照頂きたい。
原文:Charitable Donations and Tax-Exempt Charities、2023年7月31日更新