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[まとめ] 人民元建て貿易決済の3つのポイント
2009年7月1日より、上海と広東省4都市において人民元建て貿易決済が開始されました。
制限が厳しく、人民元の為替レートの影響もあって、利用はまだ一部に留まっていますが、人民元国際化の第一歩となる重要な規定です。目的、条件、メリットに分けて、簡単にまとめてみたいと思います。
1. 目的
人民銀行の質疑応答によると、国内企業及び周辺地域企業の為替リスクの軽減と、貿易量の増大による人民元決済の利便性が挙げられています。
2. 条件
対象となる地域と企業
- 地域は、国内は上海市、広東省の広州市、深セン市、珠海市、東莞市、国外は香港・マカオ地区及びアセアン国家に限定されています。
- 企業は、省政府の推薦により、人民銀行等の審査を経て決定されます。
銀行
人民元決済による輸出入貿易は、人民元の換金をどこで行うかで大きく分けて2つに分かれます。すなわち、中国の銀行(国内代理銀行)が国外の銀行に代わって行うケース、香港・マカオの銀行(香港・マカオ人民元清算銀行)が行うケースです。
国内では「国内決済銀行」が試験対象企業に人民元決済サービスを提供し、書類の審査や人民銀行への報告を行います。
図1:「国内代理銀行」を利用する場合の例
図2:「香港・マカオ人民元清算銀行」を利用する場合の例
尚、現在のところ香港の人民元清算銀行は中国銀行(香港)有限公司、マカオの人民元清算銀行は中国銀行(マカオ)有限公司です。
管理体制
人民元による決済が認められたものの、試験的導入ということで、管理体制は外貨管理に準じた厳しいものです。
- 国際貿易人民元決済台帳の作成(輸出入通関情報や人民元資金収支状況を記録)
- 国際収支統計申告の義務
- 貿易形態による報告義務
- 輸出代金の回収が210日を超える場合、国内決済銀行へ報告と関連資料の提供
- 輸出による人民元収入を国外で預ける場合、国内決済銀行を通じて中国人民銀行の主管分枝機構に届出
- 前受・前払金額が契約金額の25%を超過する場合、国内決済銀行に貿易契約を提出
- 来料加工により受領した代金が契約金額の30%を超過する場合、国内決済銀行に説明資料を提出
3. メリット
利便性の向上として一番大きいのは、輸出企業を悩ませてきた外貨の核銷が不要になることです。
- 核銷(輸出入時の外貨入金照合)が不要
- 通常の輸出と同様、増値税の輸出還付が受けられる
- 為替リスクの軽減
以上、詳細は全訳文をご確認ください。