ベトナム ベトナム会計・税務 Q&A
[ベトナム 会計・税務] 会計制度の概要
Q. ベトナムの会計制度の特徴は何でしょうか?日本と制度面での違いがあれば詳しくお願いします。
A. ベトナムの会計制度は、いわゆる総論的な会計基準ではなく、1986年のドイモイ政策による市場経済への対応を目的とした啓蒙的実務的な指針が特徴です。
① 制度の流れ
ドイモイ政策後の市場経済に対応した会計制度を確立するため、1995年11月1日にベトナム会計原則が制定されました(QD 1141/TC/QD/CDKT)。外資企業への適用は1997年1月1日以降に開始する事業年度からですが、全面的な適用までには時間を要し、2001年1月1日以降に開始される事業年度から全面適用という経緯です。
② 会計原則
会計原則は、資産や負債、収益、費用の勘定科目、仕訳方法、財務諸表、レッドインボイスなどの証憑書類、帳簿体系などの項目ごとに記載されています。特徴的な点は、勘定科目及び勘定科目番号が決まっており、日本のように社内での管理を目的とした勘定科目番号とは異なります。勘定科目の追加及び変更に際しては財務省による認可が必要です。また、財務諸表の様式も決まっていますので、規定の様式に沿った表示が求められます。
③ 会計基準
ベトナム会計原則には、重要な会計処理の基準や手続きが明示されておらず、適用に際して混乱が生じてきましたが、2005年末までに順次26の会計基準が公表され、その混乱も緩和されてきております。今後も会計原則を適用する上で重要かつ不可欠である具体的な会計基準が公表されていくことが期待されます。
④ 記帳方法
会計帳簿への記帳に際しては、勘定科目、摘要などをベトナム語で記載します。英語、日本語などの併記は認められますが、ベトナム語の記載は必須です。通貨単位もベトナムドンが基本となりますが、財務省の認可により外貨による記帳も認められています。経理責任者であるチーフアカウンタントは、会計原則・会計基準を遵守し適正な会計帳簿及び会計証憑を保持する責任を負います。
⑤ 決算及び報告制度
会計年度は原則として暦年の1月1日から12月31日までですが、申請により3月末日、6月末日、9月末日を決算日とする会計年度の選択も可能です。各企業は会計年度末から90日以内に財務諸表を作成し、税務局や投資計画局などの関係省庁に提出しなければなりません。外資企業に関しては、法定監査制度も設けられています。
今月のまとめ
- 制度の流れ:1995年11月1日制定、2001年1月1日以降開始の事業年度より全面適用
- 会計原則:勘定科目、勘定科目番号や財務諸表の様式が決まっている点が特徴
- 会計基準:2005年末までに26の会計基準が公表済み
- 記帳方法:使用言語はベトナム語、通貨単位はベトナムドンが原則
- 決算及び報告制度:会計年度は原則暦年、財務諸表は会計年度末から90日以内に関係省庁への提出が必要
NAC国際会計グループ ベトナム事務所
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