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中国・東莞市の七大戦略新興産業について

広東省東莞市は、南は深セン市、西は広州市に隣接し大湾区の中で製造業の集積地の一つです。日系製造業では深セン市からの移転先受け皿にもなっています。地形の特色として西側は珠江デルタの水郷、東側は低山が多く自然が豊富です。十三五(2016-2020)期間を過ぎ、2030年を見据えた東がん市の「七大戦略新興産業政策」について以下に紹介します。

《東莞市戦略性新興産業基地規格建設実施方案》の発布

大湾区構想における現代化産業サプライチェーンの推進を担うため、東莞市の今後の製造業発展の方向性として2021年2月に《東莞市戦略性新興産業基地規格建設実施方案》が発布されています。発展理念に「都市と産業の融合」「新型産業エコシステム」などが掲げられ、産業領域と2025年までの目標を定めています。東莞市は次の7領域を戦略新興産業とし、推進地域を設定しています。

新世代情報技術産業基地(深セン隣接エリア塘厦鎮)

深センに隣接する塘厦鎮内の3つの地域により形成される約20㎢で、高速道路や鉄道路線等交通アクセスのよい地域。新世代通信設備、新型ネットワーク、携帯電話及び新型スマート端末、半導体部品、新世代情報技術革新応用等の領域を促進。

ハイエンド装備製造産業基地(東部智能製造産業基地。松山湖東部工業園)

謝崗鎮銀瓶ハイエンド装備産業基地東部工業園は企石鎮に所在し深セン・恵州へのアクセスがよく、大湾区内主要各地と1時間圏内である。松山湖管理委員会より統括して規格建設が行われる。東部智能製造産業基地は総面積6㎢あまりで、集積回路専門園区建設が計画されている。

新材料産業基地・集積回路産業基地(松山湖東部工業園)

新材料産業基地も東部工業園に予定される。新型ディスプレイ、第三世代半導体等電子情報産業の主要材料等を含む新材料の集積、集積回路が目指される。

新エネルギー産業基地(水郷機能区)、デジタル経済産業基地(水郷機能区)

東莞市の西側の水郷地域に所在する約16㎢に中堂鎮(北海産業園)、望牛墩鎮(東興産業園)、麻涌鎮、道滘鎮等の10か所が含まれ、新エネルギー産業基地は約2㎢、水素エネルギーと燃料電池自動車産業集積を目指す。デジタル経済産業基地は約14㎢で、デジタル経済と製造業の融合発展を目指す。西隣の広州経済開発区への対応を意識している。

生物医薬産業基地(松山湖生物医薬産業基地)

松山湖生物医薬産業基地は、松山湖の三角地と台湾科技園部分で構成される1.66㎢。松山湖は2000年頃から国家級ハイテク区として発展している。また松山湖には近年ファーウェイが深センから一部移転している。生物医薬産業基地は、松山湖の東南区域を占める。

2021年は各戦略産業基地規格建設のキックオフとし、2023年には産業環境を基本的に整備、2025年には新興産業群を形成するとしています。4月20日付で《東莞市戦略新興産業基地高度発展の若干措置》で奨励政策を発布、5月21日には「東莞戦略的成長産業投資誘致大会」が開催されました。「世界の工場」の今後の進化も期待されます。