中国 中国会計税務レポ

[中国会計税務レポ] 投資損失 – 資産損失の申告(4)

 『企業資産損失所得税税前控除管理弁法』(国家税務公告2011年第25号 以下、「管理弁法」といいます。)に規定される損失のうち、今回は投資損失に関する規定を紹介します。

1. 投資資産の企業所得税法上の取扱い

投資資産とは、企業が対外的に持分投資及び債券投資を行うことにより形成される資産で、企業所得税の課税基礎は取得原価とされています。投資資産は売却など処分を行った場合にその取得原価が税前控除(注1)されることになります。
(注1) 「税前控除」とは企業所得税の課税所得計算において費用・損失として控除することをいい、日本の法人税法における「損金算入」に相当します。

2. 投資損失の税前控除

また、企業の投資資産に生じた管理弁法に定める損失についても税前控除が可能です。企業投資損失には債券性の投資損失と持分(権益)性の投資損失があります。
(1) 債権投資損失
 企業が直接または間接的に関連者から受ける元金返済及び利息の支払いなどの補償を要する融資を指すとされ、社債券などが該当します。債権投資損失は投資の原始証票、契約或は協議、会計処理資料等の関連証拠資料を以て認識しなければならないとされ、関連証拠はその損失の発生原因により区分して定められています。

  • 債務者や保証人の破産・閉鎖・解散・行方不明または死亡などによる場合: 資産弁済証明或は遺産弁済証明。ただしこれらを3年以上提出できない場合、または債券投資の残高が300万元以下である場合には、関連する政府機関が発行する抹消証明書或は査問証明及び取立記録等。
  • 債務者が重大な自然災害や突然の事故に遭った場合: 債務者が重大な自然災害や突然の事故に遭ったことの証明、保険会社の保証証明書、資産弁済に係る証明書等。
  • 債務者の資産が法律責任の負担により債務を返還するのに不足し、かつ他に債務負担者がいない場合: 裁判所による裁定証明と資産弁済証明。
  • 企業が訴訟を提起し、人民裁判所が債務者や保証人に対して強制執行したが執行可能資産がなく、人民裁判所が執行の終結や停止などを裁定した場合: 人民裁判所の裁定文書。
  • 企業が訴訟を提起した後に請求却下または不受理などがあった場合: 裁判所による請求却下証明、または裁判所による不受理や非認証に係る証明、もしくは仲裁機構の裁決により債務者の責任が免除されることに係る文書。
  • 国務院が認めた特別支出債権: 国務院の批准文書と国務院の同意後に国務院関連部門が承認した文書。

(2) 持分投資損失(中国語表記は股権投資損失)
元金・利息の返済を要しない、投資者が企業の純資産に対して所有権を有する投資を指すとされ、株式投資などがこれに該当します。持分損失については、『企業資産損失税前控除政策に関する通知』(財税[2009]57号)において、以下の条件の一つに符合する場合に回収不能と確定した持分投資は、持分投資損失として税前控除できるとしています。

  • 被投資者が法に基づき破産・閉鎖・解散・抹消を宣告または営業許可証の取消を受けた場合。
  • 被投資者の財務状況の悪化が著しく、累計で巨額の損失が発生し、すでに経営を3年以上連続で停止し、かつ経営再建計画がない場合。
  • 被投資者への統制権を有さず、投資期限が満了または投資期限が10年を超過し、かつ被投資企業が連続3年の経営損失により債務超過である場合。
  • 被投資者の財務状況の悪化が著しく、累計で巨額の損失が発生し、清算が完了または清算期限を3年以上超過している場合。
  • 国務院財政・税務主管部門の規定するその他の条件。

持分投資損失については投資先企業の

  1. 破産公告、破産弁済に係る文書
  2. 工商行政管理部門による営業許可の抹消・取消しに係る文書
  3. 政府関連部門の行政処理決定文書
  4. 経営終了・取引停止に係る法律その他の証明文書
  5. 資産処分案、取引成立および記帳資料
  6. 法定代表人・主要責任者および財務責任者が署名捺印した投資損失に関する証明書
  7. 会計計算資料およびその他関連証拠資料

により認識しなければならないとされています。