中国 華南ビジネス実務

[華南ビジネス] 2011年、来料加工工場の法人化は加速するか

2010年末には、広東省における加工貿易の「転型昇級」(モデルシフトとアップグレード)への取り組みを総括する、政府機関発信の記事をいくつか目にしました。

「転型昇級」は、日本語の構造転換とか体質強化、高付加価値化といった意味を込めていると同時に、広東省においては100%加工輸出で加工賃のみを取得する来料加工廠から、国内販売や輸出が可能な法人体制へ という業態の転換を指しています。

税関総署は11月、商務部、人力資源社会保障部と合同で通知を発布し、蘇州と東莞市を加工貿易転型昇級のモデル地域として指定しています。東莞市は2008年頃から法人化に関する各種政策を打ち出しました。来料加工廠同一場所法人化の手続き手順を発布し、保税貨物の国内販売申請時の集中通関制度を構築し、法人化や内販促進の奨励・補助金政策を進め、政策説明セミナーを繰り返し開催しています。現在、加工貿易企業が1万1千社余り、来料加工からの法人化実績は2010年末には1600社余りという東莞市は今後、来料法人化促進を加速し、国内販売を強化、サプライチェーンを発達させることにより保税貨物の高付加価値化を図り、産業構造の転換と内陸移転を進めることを率先して行っていく旨が、広東省対外貿易経済合作庁のホームページで紹介されています。成果目標は、企業が生産ラインから地域本部へ変化し、設計・開発業務に従事し、OEM生産だけでなく、自社ブランドの販売展開を行う企業を増やしていくこと、また、ハイテク企業や周辺産業の投資誘致も継続して行われます。

内陸移転では、税関総署等による移転先13都市の認定も行われ、また、広東省の34ヶ所の移転工業園でも誘致が進められているようです。加工貿易業務の内陸移転がスムーズに進むよう、保税区域の認可も積極的に行われることになります。

東莞市を初めとする、広東省の各関連政府機関による来料加工廠法人化に関する促進活動は、加工貿易の高付加価値化を目指すこのような政策の中で益々活発化することが予想されます。来料加工廠を運営する企業は政策を理解した上で、ビジネス上の判断を適切に行うために、少なくとも法人化を想定したリスク・コストの予測や、法人化後の運営体制等について早期に検討することが望ましいと言えます。

(以上)