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[華南ビジネス] 加工廠法人化の資本金と対外送金

華南特有の来料加工工場の法人化に際して、資本金をどのように設定するかということと、設備代金の送金の可否や加工廠閉鎖後に外貨が残った場合の対外送金についてのご質問がよく寄せられます。

1. 各地の最低資本金の運用ルール

会社法では生産型企業の最低資本金は50万元とされていますが、各地で外商投資企業設立認可上の実績に基づく運用ルールが存在するのが実情となっています。また、設立申請時に提出するフィージビリティスタディ(FS,事業化調査報告書)に計画を記載しますので、事業内容に基づく資本金の多寡が審査されることになります。

2. 登録資本金と投資総額の比率

合弁、独資を含む外商投資企業はその投資総額(企業の運営に必要な総資金額)のうち、一定比率を資本金として登録し、一定期間内に払い込む規定となっています。投資総額が3百万米ドル以下の場合は70%以上が資本金といった具合です。投資総額の資本金以外の部分は対外借り入れ枠となります。

3. 登録資本金を構成する要素

資本金として登録できるのは、現金、設備や不動産などの現物と無形資産です。会社登録資本登記管理規定によると資本金のうち非現金の割合が70%を超えてはならないとされています。一方、来料加工の法人化に関連して広東省の工商局による指導意見の通知では、2年以内に払い込み、初回払い込みの免除、非貨幣性出資比率制限の緩和といった内容が盛り込まれています。この緩和措置を適用するかどうかは登録先の地域の工商局での取り扱いによることになります。

4. 設備の価値鑑定

現物出資は設備、土地使用権などを含みます。設備の出資登録においては検験検疫局による価値鑑定が必要となり、来料加工廠当初輸入時の通関申告書や設備購入時の契約書などの資料により設備の種類に基づき価値鑑定を行い、出資登録することになります。出資登録できるのは、新法人が自社で所有することになる設備が前提であることと、輸入設備であることが前提です。

加工廠に提供された設備は「不作価(無償)設備」として輸入されており、これを税関監督管理期限の5年以内に新法人に保税で移転しても、依然として外国企業所有の設備ですので、不作価設備を出資登録することは認められていません。一方、税関監督解除手続きを行って(5年以内の場合には残存価値に対する関税・増値税を支払い)、国内貨物となった設備は、従来の原則からすると、法人の出資登録済みの現金で購入することが一般的であり、設備の出資登録はできないと言われていますが、東莞市の加工廠の法人化に対する措置では解除済み設備の出資登録を可能としています。

加工廠の解除済み設備或いは国内で取得する設備は、新法人を設立し出資登録した現金で買い取ることになりますが、この設備代金は売却時点では親会社向けの対外送金が認められません。加工廠閉鎖後残金の対外送金は可能とされており、深圳市や東莞市では外商投資企業の清算後の残額を対外送金する手順に準じて申請することとしています。