中国 中国アジア法令Q&A

[Q&A] 個人所得税の課税について

Q. 独資法人を設立しました。個人所得税の課税についておたずねします。
中国での居住者の定義について具体的に教えて下さい。
また、日本法人の代表者が中国現地法人の董事長と総経理を兼任し、中国へは年間に10回程度、延べ日数で60~90日程度の出張を想定していますが、この場合に中国及び日本での課税がどのようになるのか教えて下さい。中国居住者としての勤務とみなされるのでしょうか。

記事の内容は、法規定の変更などにより、現在の状況と異なっている場合がありますのでご留意ください。

A. 中国の居住者とは、居住期間が1年以上になる者を言い、日本も含めた全世界所得が課税対象となります。
ただし、居住期間が1年以上5年以下の場合は、非永住の居住者として、全世界所得のうち、国外企業が負担する国外源泉所得は免税となります。

また、居住期間が1年未満の者は、非居住者として、中国国内源泉所得に対して課税されます。
ただし、次の3つの条件を満たす場合は、短期滞在者となり、中国国内源泉所得に関して課税されません。

  1. 年間の滞在期間が183日以下
  2. 現地法人からの給与支給がない
  3. 現地法人の計上費用としていない

ただしこのうち1つでも条件を満たさなくなった場合は、居住期間が1年未満の非居住者として、その給与の対象期間に応じて課税されます。

なお、董事や総経理といった高級管理職への報酬については、職務を履行した場所に関わらず、中国国内の機構より支払われた所得は課税対象となり、その高級管理職が非居住者であっても、国外源泉所得のうち、中国企業が負担する分については課税されます。

御社の出張者のケースですと、年間の滞在期間が183日以下ですので非居住者に該当し、国内源泉所得のうち、現地法人からの支給分に対し課税されるほか、出張者が董事と総経理を兼任されておりますので、国外源泉所得のうち、現地法人からの支給分についても課税されます。