中国
[全訳] 国内機構の国外直接投資に係る外貨管理規定
国家外貨管理局
≪国内機構の国外直接投資に係る外貨管理規定≫の公布に関する通達
匯発[2009]30号(原文)
国家外貨管理局各省、自治区、直轄市分局、外貨管理部、深セン、大連、青島、アモイ、寧波市分局:
「海外進出」発展戦略を徹底し、国内機構の国外直接投資の健康的な発展を促進し、クロスボーダーの資本流動に対しバランス管理を実行し、我国の国際収支の基本的バランスを維持するために、≪中華人民共和国外貨管理条例≫等の関連法規に基づき、国家外貨管理局は≪国内機構の国外直接投資に係る外貨管理規定≫≪以下、≪規定≫)を制定し、ここに公布する。≪規定≫は2009年8月1日より施行する。遵守して執行してください。
各支局、外貨管理部は本通達を受取った後、速やかに各分枝機構、城市商業銀行、農村商業銀行、外資銀行へ転送しなければならない。各中資外貨指定銀行は、所轄の分枝機構へ速やかに転送しなければならない。
二OO九年七月十三日
国内機構の国外直接投資に係る外資管理規定
第一章 総則
第1条 国内機構の国外直接投資活動を促進し、利便性を高め、国外直接投資に係る外貨管理を規範化し、我国の国際収支の基本的なバランスが向上するよう促進するため、≪中華人民共和国外貨管理条例≫等の関連法規に基づき、本規定を制定する。
第2条 本規定にいう「国外直接投資」とは、国内機構が国外直接投資の主管部門の批准を経て、設立(独資、合資、合作)、合併・買収、資本参入等の方式で、国外で企業を設立するまたは既存企業或いはプロジェクトの所有権、支配権或いは経営管理権等の権益を取得する行為を指す。
第3条 国家外貨管理局及びその分枝機構(以下、外貨局という)は国内機構の国外直接投資における外貨収支、外貨登記に対し監督管理を実施する。
第4条 国内機構は自ら所有する外貨資金、規定に適合する国内の外貨貸付金、人民元で購入した外貨または有形、無形資産及び外貨局の批准を得たその他外貨資産をもって国外直接投資を行うことができる。国内機構の国外直接投資による利益は、国外に留保し国外直接投資に使用することができる。
前項にいう自ら所有する外貨資金には、経常項目外貨口座、外商投資企業資本金口座等の口座にある外貨資金を含む。
第5条 国家外貨管理局は、我国の国際収支情勢と国外直接投資状況に基づき、国内機構の国外直接投資に係る外貨資金源の範囲、管理方式及びその国外直接投資による所得・利益の国外留保の関連政策に対し調整することができる。
第二章 国外直接投資における外貨登記と国外送金
第6条 外貨局は国内機構の国外直接投資及びそれによる資産、関連権益に対し、外貨登記及び届出制度を実施する。
国内機構は所在地の外貨局で国外直接投資の外貨登記手続きを行う時、その国外投資の外貨資金源について説明しなければならない。
第7条 国内機構は、国外直接投資が国外直接投資の主管部門の批准を得た後、下記の資料を持参して所在地の外貨局へ国外直接投資の外貨登記手続きを行う。
(一)申請書と「国外直接投資外貨登記申請書」を記入する(添付書類1)
(二)外貨資金源の状況に関する説明資料
(三)国内機構の有効な営業許可書または登録登記証明及び組織機構コード証
(四)国外直接投資の主管部門による当該投資項目に関する批准文書または証明文書
(五)前期費用の送金があった場合、関連説明文書及び送金証書を提供する
(六)外貨局が要求するその他資料
外貨局は上述の資料を審査し間違いがないと確認した後、関連の業務システムにて関連状況を記録し、国内機構に国外直接投資外貨登記証を発行する。国内機構はそれをもって国外直接投資項目下の外貨収支業務を行う。
複数の国内機構が共同で一つの国外直接投資を実施する場合、国内機構の所在地の外貨局から関連の国内機構へ国外直接投資外貨登記証がそれぞれ発行され、関連の業務システムに関連状況を記録する。
第8条 国内機構は、国外直接投資の主管部門による批准文書と国外直接投資外貨登記証をもって、外貨指定銀行で国外直接投資資金の対外送金手続きを行う。外貨指定銀行はその信憑性を審査してから対外送金を行う。
外貨指定銀行が国内機構の国外直接投資資金の対外送金を行う場合は、送金された累計は、当該国内機構が事前に外貨局の関連システムに登記した国外直接投資外貨資金の総額を超えてはならない。
第9条 国内機構は下記の状況が発生して60日以内に、国外直接投資外貨登記証、国外直接投資主管部門による批准または届出書類及び信憑性に関する関連証明資料をもって所在地の外貨局で国外直接投資外貨登記、変更または届出を行う。
(一)国内機構が国外直接投資で得た利益及び自ら投資した国外企業の減資、株式譲渡、清算等によって得た資本項目の外貨収入を国外に留保し、未登記の国外企業を設立、合併または資本参入に使用する場合は、前述の直接投資活動について国外直接投資外貨登記手続きを行うこと。
(二)登記している国外企業の名称、経営期限、合資・合作パートナー及び合資・合作方式等の基本情報が変更し、増資、減資、株式譲渡または置き換え、合併または分割等の状況が発生する場合は、国内機構は前述の変更状況について直接投資外貨登記変更手続きを行うこと。
(三)登記している国外企業に長期株券、債権投資、対外保証等の資本変動に係らない重大事項が発生する場合、国内機構は前述の重大事項について国外直接投資外貨届出手続きを行うこと。
第10条 国内機構が保有する国外企業の株権が、株式譲渡、破産、解散、清算、経営期間満了等の原因によって抹消される場合は、国内機構は、国外直接投資主管部門の関連証明資料を取得して60日以内に、関連資料をもって所在地の外貨局で国外直接投資外貨登記の抹消手続きを行わなければならない。
第11条 国内機構は≪中華人民共和国外貨管理条例≫とその他関連規定に従い、国外直接投資企業に貸付または融資型の対外保証を提供することができる。
第12条 国内機構は外貨管制の国または地域で投資する場合、規定に従い外貨管制がない国または地域で専用外貨口座を開設し、当該投資に関連する外貨資金の収支に使用することができる。
第三章 国外直接投資の前期費用の送金
第13条 国外直接投資の前期費用とは、国内機構が国外で投資しプロジェクトまたは企業を設立する前に、国外へ支払うべき国外直接投資に関する費用を指す。それは以下の項目を含むが、それらに限らない。
(一)国外企業の株または国外資産権益を買収する場合、プロジェクトの所在地の法律規定または譲渡方の要求に従い納付すべき保証金
(二)国外プロジェクトを入札募集で支払うべき入札保証金
(三)国外直接投資を行う前に、市場調査を行ったり、事務所と設備を賃借したり、従業員を募集したり、及び国外仲介機構を依頼するのに必要な費用
第14条 国内機構が国外に送金する前期費用は、国内機構が国外直接投資主管部門に申請した国外直接投資総額(以下、国外直接投資総額)の15%(15%を含む)を超えてはならず、且つ、下記の資料を持参して所在地の外貨局に申請しなければならない。
(一)書面による申請(国外直接投資総額、各出資者の出資額、出資方法及び必要な前期費用の金額、用途と資金源に関する説明等を含む)
(二)国内機構の有効な営業許可書または登録登記証明及び組織機構コード証
(三)国内機構が入札、合併または合資・合作プロジェクトに参加することに関する書類(中外双方が署名した趣意書、覚書またはフレームワーク協議等を含む)
(四)国内機構が国外直接投資主管部門に提供した書面申請
(五)国内機構が発行した前期費用の使用範囲に関する書面承諾書
(六)外貨局が要求するその他関連資料
送金する国外直接投資の前期費用が、国外直接投資総額の15%を超えるのが確実である場合は、国内機構は前述の資料をもって、所在地の国家外貨管理支局(外貨管理部を含む)に申請する。
外貨指定銀行は、批准書類をもって国内機構のために外貨送金手続きを行い、且つ速やかに外貨局に関連情報をフィードバックする。
第15条 国内機構が国外に送金した前期費用は、国内機構の国外直接投資総額に算入しなければならない。外貨指定銀行は、国内機構の国外直接投資資金の送金を行う場合、送金済の前期費用の金額を控除しなければならない。
第16条 国内機構が前期費用を送金してから6月以内に国外直接投資項目の批准手続きを完了しない場合は、国外口座の残余資金を送金した国内外貨口座に引き戻さなければならない。送金した外貨資金が人民元で購入されたものであれば、元の外貨購入証書をもって外貨指定銀行で外貨決済を行うことができる。
所在地の外貨局が国内機構の残余前期費用の引き戻しを監督する。前期事業の需要がある場合は、元の許可した外貨局の批准を経て、前述した6ヶ月の期限を合理的に延長することができる。但し、12ヶ月を超えてはならない。
第四章 国外直接投資項目下の資金の入金及び外貨決済
第17条 国内機構はその国外直接投資によって得た利益を国内に送金する場合、その経常項目外貨口座に入金するか外貨決済することができる。
外貨指定銀行は、国内機構の国外直接投資外貨登記証、国外企業の関連財務諸表及び利益処分、前期の年検報告書等の関連資料を審査し間違いがないと確認した後、国内機構のために国外直接投資による利益の入金または外貨決済手続きを行う。
第18条 国内機構は、設立した国外企業の減資、株式譲渡、清算等によって得た資本項目下の外貨収入は、資産の現金化専用外貨口座に入金するか、外貨局の批准を得て国外に留保する。資産の現金化専用外貨口座の開設及び入金は、所在地の外貨局が関連規定に従い批准し、口座の資金の外貨決済は、関連規定に従い外貨指定銀行に申請する。
第19条 国内機構が国外で直接投資した企業の株権の全部または一部をその他の国内機構に譲渡する場合は、関連の資金は国内に人民元で支払わなければならない。株権の譲渡人は、所在地の外貨局で国外直接投資外貨登記の変更または抹消手続きを行い、株権の譲受人は所在地の外貨局でその譲受について国外直接投資外貨登記手続きをおこなわなければならない。
第五章 附則
第20条 国内機構(金融機構を除く)は、国外投資連合年検の関連規定に従い年検を受けなければならない。複数の国内機構が共同で一つの国外直接投資を実施する場合、それぞれ所在地の外貨局で年検を受けなければならない。
第21条 国内機構は香港特別行政区、マカオ特別行政区と台湾地区で直接投資する場合、本規定を参照して行う。
第22条 国内の金融機構が国外直接投資に関し行う外貨管理は、本規定を参照して行う。関連監督管理部門が、国内金融機構の国外直接投資の資金運用に対し別途規定している場合はその規定に従う。
第23条 国内機構が国外直接投資項目下の外貨収支及び外貨登記等の業務を行う場合は、関連規定に従い関連システムを通じて行わなければならない。
外貨指定銀行は、国外直接投資項目下の外貨収支情報を関連システムを通じて外貨局にフィードバックしなければならない。
第24条 国内機構が本規定に違反する場合は、外貨局は≪中華人民共和国外貨管理条例≫及びその他関連規定に基づき処罰する。犯罪を構成する場合は、法に照らし刑事責任を追及する。
第25条 本規定の解釈は国家外貨管理局が担当する。
第26条 本規定は2009年8月1日より施行する。添付書類2に列記するその他の規定文書は同時に廃止する。従来規定が本規定と一致しない場合は、本規定に従う。
添付書類1:国外直接投資外貨登記申請書
添付書類2:廃止文書目録