中国 関税
中国・深セン税関総合保税区の保税修理業務について
保税修理業務とは
保税修理業務とは、税関特殊監督管理区内で行うことができる保税機能の一つで、国外の製品を保税方式で搬入し修理・検査等を行い再輸出するビジネスモデルです。中国に所在する製造企業が中国で製造し各国に輸出された貨物のアフターセールスサービス・メンテナンスサービス等の拠点として、保税区域を活用することができるものです。深圳税関のホームページでの紹介では、2022年に深圳税関特殊監督管理区域での保税修理業務の輸入貨物価値は24.65億元に達し、昨年比13.01%増とのことで、深圳に所在するハイテク製造業のサプライチェーンにおいて重要な優位性をアピールし、輸出品の修理センターとして発展の潜在性を強調しています。保税修理業務は近年、主に総合保税区と呼ばれる地域で展開されている業務で、深圳では塩田や前海は港を持つ総合保税区、また坪山は内陸ながら通関や保税移送の便宜を図る総合保税区として保税修理業務が推進されているようです。
保税修理業務の申請
税関特殊監督管理区内で行う保税修理業務は商務部門、環境保護部門等による認可、廃棄物や屑材の処理等についての報告や監督管理を受ける必要があり、比較的厳格な管理の基で規範的な発展が図られています。
商務部公告2020年第16号及びその後の公告では総合保税区内で保税修理を行なうことができる製品種を以下の通りとしています。
航空機・船舶、軌道交通、工程機械、デジタル工作機械、通信設備、精密電子製品等、飛行機エンジン等、ドローン、AR・VR機器、医療測定機器、デジタルカメラ、智能ロボット等。
企業は国外若しくは国内の区外一般地域から輸入/搬入された修理品を修理し、国外或いは国内区外に再度輸出/搬出することができるとし、保税修理業務を悪用して製品の解体、廃棄を行ってはならないとしています。このほか、総合保税区内企業の自社及びグループ製造製品・自社仕様設備は、当該保税区内若しくはその他の総合保税区内企業で修理後、元の経路で再輸出/搬出できるとし、上記の修理製品種の制限を受けないものとされています。
税関総署2018年第203号《保税修理業務監督管理の問題についての公告》(2018年203号文)では、保税修理業務を行う企業の条件として以下を挙げています。
(1)税関の企業信用認定が一般信用及びそれ以上であること。
(2)業務に必要な場所と設備を備えており、修理前・後の貨物、修理不能貨物、修理用部品、修理過程で発生する屑材等に対して特定の管理が行えること。
(3)税関要求を満たす管理制度と電算システムを備え、修理消耗情報等がトレースでき、税関規則に従って申告を行えること
(4)税関の監督管理上必要なその他の条件
保税修理業務の申告方式
2018年203号文では、保税修理業務の税関申告について以下の通り定めています。
(1)保税修理貨物の輸出入申告時、備案輸入材料を“貨物名(修理前)”、備案輸出製品を“貨物名(修理後)”、“貨物名(修理不能)”とする。
(2)修理用材料の保税輸入時、“進料加工”“来料加工” 輸出時“進/来料再輸出”、結転する場合、“進/来料余剰材料結転”とする。
(3)修理交換した元の部品、壊れた部品、修理時発生した屑材等は実際の状態に基づいて“進/来料屑材再輸出”とする。
(4)備案材料・製品名に該当しない、或いは非保税方式で輸入された“修理用材料”は、備案修理貨物の番号に基づいて再輸出申告する。
なお、保税修理業務における修理前貨物、修理後貨物、修理不能貨物、修理過程で発生した屑材、交換された元の部品、壊れた部品は原則的に国内販売してはならず、再輸出するか若しくは《税関総署加工貿易貨物毀損処置の関連問題についての公告》(税関総署公告2014年第33号)に基づいて処分するものとし、その内、固体廃棄物に属するものは《固体廃棄物輸入管理弁法》(環境保護部、商務部、発展改革委員会、税関総署、質検総局令第12号)及び国の環境保護主管部門の関連規則に基づいて処分するものとするとされています。