中国 粤港澳大湾区
中国・2025年以降の広東省主要政策と活用ポイント
中国の景気回復と生産性向上のための、国及び広東省の主要政策と活用ポイントを以下にご紹介します。
消費拡大
内需刺激策として全土で行われているのは、大規模設備更新と消費財買換促進政策となります。
広東省では、環境保護、省エネ・節水プロジェクトの設備投資に対する企業所得税の優遇政策、器具・設備の一括控除政策、先進製造業や集積回路製造企業の増値税加算控除政策、研究開発機構の設備購入時の増値税還付政策等となります。
このほか地域によって中小企業のデジタル化や、個人の家電買換え等に対し優遇がある場合もあるようです。
各地の優遇政策をタイムリーに把握して、優遇措置を積極的に活用することをお勧めします。
走出去
「中国製造2025」等で中国での製造とグローバル市場への販売が目指されていましたが、昨今の中米摩擦で貿易上の制約が多くなり、また将来的には労働人口の減少による労働力不足の懸念もあり、中国企業もヨーロッパや東南アジアへの海外進出を積極的に行うようになってきています。
日系企業の中にも、中国子会社から海外の親会社への「子親ローン」や、中国現地法人から香港への拠点設置を行う等のケースが見られます。
中国からの海外進出の過程では、国際税収等、複雑な規定にも関わることから、国家税務総局による「走出去」税制のまとめが発布されています。
このような傾向に伴い、日本におけるインバウンド需要の増加も見込まれます。
イノベーション
中国経済が不動産以外の新たな経済牽引役を模索し、また先進国の仲間入りを果たすためにも、イノベーションを通じた先進産業領域の発展を図ると同時に、イノベーション人材を海外各地から誘致しようとしています。
2016《国家イノベーション駆動発展戦略綱要》では、2050年までに科学イノベーション強国になることが提唱されています。
広東省の深圳市では従来より電子部品の集積地であることと、経済特区で規制の少ない産業発展環境を生み出す立法措置が単独で取れることなどから、イノベーション創業環境、試作・実証実験拠点としての優位性が有ります。毎年、「新世代IT」「デジタル&ファッション」「先端設備製造」「グリーン・脱炭素」「新材料」「バイオ・医薬・ヘルスケア」「海洋経済」の7つの技術領域で、各国予選を勝ち抜いた1領域2社(1社2名)の14社28人×13国・地域のスタートアップ企業が、深圳市の費用負担で一同に会し、ピッチ大会が行われます。入賞者には、インキュベーションセンターのスペースや、創業のサポートが提供されるということです。日本のスタートアップ企業も、創業及び実証実験に適した環境を有効に活用できる絶好の機会となるかと思います。
大湾区・自由貿易試験区
大湾区、自由貿易試験区は、中国の対外開放政策や、国内の関連規制緩和を試験的に実施する地域となっており、新政策を点から線、線から面へと拡大することがよく見受けられます。
2014年から広東自由貿易試験区が認可開始され、南沙エリア:港湾・製造、前海蛇口エリア:深港合作区、金融・国際法務、横琴エリア:マカオ合作、MICE(会議、展示会、旅行、イベント等の略称)のほか、最近では深圳福田と香港の共同発展計画である、河套深港科技創新合作区深圳園区の開発も開始されています。これらのエリアでは、外資企業に対し一般地区では進出の規制のある、金融・医療・教育・通信領域において、独資での設立を認めるなど、参入ハードルが低くなっており注目されています。