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[M&A] 香港のIPO調達額、10位圏外も:現時点で世界9位に転落

過去3年間、新規株式公開(IPO)による資金調達額で世界トップを維持してきた香港株式市場が、今年はトップ10圏外に転落する可能性が浮上してきた。海通国際証券の調査によれば、現時点での香港の順位は9位。世界経済の先行き不安が影響し、機関投資家の動きが慎重なことやコーナーストーン投資家が確保しづらいことが背景にある。11日付サウスチャイナ・モーニングポストが伝えた。

中国本土の証券業界2位である海通証券の子会社、海通国際証券の黄薫輝(エドワード・ウォン)ストラテジストによれば、ユーロ圏の債務危機や中国本土の経済減速による先行きの不透明さが影響し、香港株式市場のIPOによる資金調達総額は今年1~8月、過去10年間で最低となる前年同期比77%減の430億HKドル(約4,338億円)弱まで落ち込んだ。

黄氏は、「機関投資家が株式よりも債券を好んでいる。また、売買額や投資額が小さい」と指摘。こうした機関投資家の慎重な向きが香港のIPO市場低迷の主因だと分析した。

また、今年の早い段階でIPOを実施した企業の多くは、コーナーストーン投資家(公募に先立ち戦略的投資家として引き受けを行う機関投資家)の株式大量購入に頼っていたが、最近では、このコーナーストーン投資家の確保が難しく、資金が調達できないという。このため、多くの企業がIPOを延期。今年下半期(7~12月)の上場を予定していた中国光大銀行や、第3四半期(7~9月)の上場を見込んでいた中国人民保険集団などが例として挙げられる。

大手会計事務所KPMGの中国におけるパートナー、ポール・ラウ氏は、現在の香港株式市場の地合いを2008年の世界金融危機以来の悪さと表現。香港がIPOによる資金調達額を過去3年間の水準に戻すことは難しいとした。しかし一方で、1~2件の成功例があれば、地合いは急速に回復するとも予測している。

新たな世界トップ候補として有力なのが、米店頭市場ナスダックとニューヨーク証券取引所(NYSE)。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)世界大手の米フェイスブックが5月、ナスダック上場により160億米ドル(約1兆2,500億円)を調達したことが大きな支援材料となっている。