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[M&A] 香港IPO市場、来年下半期に回復見込み

大手国際会計事務所2社が18日、来年の新規株式公開(IPO)市場の見通しについて、下半期(7~12月)に持ち直すとの見方を示した。その上で、来年の調達額は1,250億~1,300億HKドル(約1兆3,600億~1兆4,100億円)に上ると予想。中国経済の回復が鍵と見ている。

大手会計事務所KPMGは、来年の見通しについて、市場の不安定さは続くが、地合いが改善すればすぐに取引が動き出すと予測。来年半ばごろには、中国経済の先行き不透明さが緩和し、香港のIPO市場が回復するとみている。19日付サウスチャイナ・モーニングポストによれば、同業大手のアーンスト・アンド・ヤング(EY)も、名実共に中国新政権が誕生する3月以降に政策が確定するため、来年下半期がIPO好機になるとみている。

KPMGは、中国経済がソフトランディングの兆候を示しており、地合いが回復すればIPO計画を凍結・延期した中国本土企業は再度上場に挑戦すると予測。両社とも、大手国有企業のほとんどは過去10年間ですでに上場しているため、民間企業が市場の鍵を握るとした。加えてEYは、来年の調達額の1社当たり平均規模は最大10億HKドルになると予測し、電力会社や再生可能エネルギー企業、不動産デベロッパーなどがすでにIPOを計画しているとした。

EYの蔡偉栄(リンゴ・チョイ)パートナーは、個人投資家の需要が縮小しているため、来年もコーナーストーン投資家(公募に先立ち戦略的投資家として引き受けを行う機関投資家)の存在が重要になると分析。「コーナーストーン投資家がいなければ、企業も銀行も上場計画を進めない」と指摘した。

一方、KPMGは、過去数年間、香港IPO市場で重要な役割を担ってきた国際企業に着目。市場の不安定さが影響し、今年は国際企業の大規模上場がなかったが、多くの企業が事業を拡大したい中国本土企業と国際企業を結ぶ場所として香港を認識していることが、同社の調査で分かったとした。

KPMGは、来年のIPO件数は85社、調達額は1,250億HKドルと予想。一方、EYも調達額は1,300億HKドル程度とみている。

■今年の調達額は過去10年でも低水準

KPMGによれば、今年の調達額は新型肺炎SARSが流行した2003年、世界金融危機に陥った08年に続き、過去10年間で3番目の低水準に落ち込む見通し。10億HKドル以上の調達額を達成した企業はわずか15社にとどまっている。EYによれば、今年1~11月の調達額は880億HKドルに落ち込み、昨年通年の2,600億HKドルから大幅に減少。KPMGは、今年通年の調達額は800億~900億HKドルの範囲内との考えを示している。
新規株式公開の資金調達額と件数の推移