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[M&A] 買収後の減損処理が33件:上場企業、調査で判明
香港取引所(HKEX)は22日、上場企業が2011年12月~12年11月に発行した年次報告書に関する調査結果を発表し、事業買収後ののれん代や無形資産の減損処理が33件あったことを明らかにした。これらの事例は、買収した事業の価値が当初評価より減ってしまったことを意味する。買収時に既に減損の認識につながる状況が存在したケースは3件で、当初の資産評価が不適切だった疑いもあるという。
この調査は、上場規則の順守と重要要素の開示に焦点を当てて実施した。
買収時に減損が予測できる状況が既に存在したケース3件のうち2件は、買収に際して、投資家に対し、買収する事業の価値や見通しを誇大に報告していた疑いがあった。特に、業務計画やキャッシュフローの予測はミスリード、不正確に当たるものだったという。残り30件の減損処理は、買収後に発生した事情が原因。うち28件は適切な業績見通し下方修正を発表していた。
買収による無形資産の減損処理を報告する上場企業は、その詳細を開示する必要がある。HKEXは、その際に減損損失の認識につながる出来事や状況に関する説明を加えるよう促した。使用した計算基礎や評価方法などの評価切り下げに関する情報も開示するよう求めた。
■公表義務守らぬ例27件
また上場企業は、買収事業の業績が業績保証額を下回る場合には公表する義務があるが、初期に保証の結果を開示しなかったケースが27件あった。指摘後に開示したのは25件。
HKEXは上場企業に対し、株主に業績保証の状況や結果を知らせるべきとし、不足額や買収額の清算、関連当事者の義務履行の有無に関する情報も開示するべきとした。
上場企業と関連企業間の「関連取引」に関しては、総じて規則が順守されていた。その上でHKEXは、年次報告に◆上場規則上の取引への関連有無、また特定の規則要件を満たしているか◆継続関連取引に関しては、社外取締役と会計士による年次見直しの結果――を表記するよう改めて促した。同期間に関連取引を実施した企業は854社あった。
事業や財務の状況が大きく変化した企業に関しては、◆売掛債権やそれに伴う清算の変動とその後の動きについての説明◆税率・税金残高の変動についての分析◆特定の重要業績評価指標(KPI)を用いている場合には、その情報――の3点を明記するよう勧めた。
また、探査、開発、鉱業生産に携わる企業は、上場規則により年次報告上の情報更新が義務付けられているが、開示された情報が最小限にとどまり、詳細を欠いている企業が数社あった。
企業の投資に関しても特定の情報開示要件があり、投資額や運用実績の明細などの開示が求められている。(NNA.ASIA)