香港 中国アジア法令Q&A

[Q&A] 現地法人・支店・駐在員事務所について

Q. 香港で貿易関係(乙中業務ではない。通常の商社活動で輸出入の業務が多い)に携わる場合に、支店や駐在所という立場と現地法人という立場で比較した場合に、支店・駐在事務所では不利(やりにく)なのでしょうか? 現地法人のほうがメリットがあるのでしょうか?

記事の内容は、法規定の変更などにより、現在の状況と異なっている場合がありますのでご留意ください。

A. 駐在員事務所の場合は情報収集や本社営業の補助活動のみで営業活動ができませんので、実際に貿易活動されるのであれば、現地法人か支店となります。香港への進出形態は、事業の目的や活動内容によりメリット/デメリットが異なります。各形態の特徴を比較し登記関係の手間も充分に考慮した上で、慎重に選択する必要があります。

現地法人 支店 駐在員事務所
主なメリット 香港の低税率の享受
迅速な意思決定
日本本社によるコントロール 簡易
営業活動 不可(情報収集、本社営業の補助のみ)
会社登記(@香港会社登記局) 不要
事業登記(@香港税務局)
会計 香港の会計原則により決算を行う 本店の会計方針により決算を行う 試算表の作成
会計監査 毎期必要 不要 不要
税務申告 毎年事業所得税の申告・納税が必要。
株主構成、事業内容等によっては、タックスヘイブン対策税制の対象となる。
毎年事業所得税の申告・納税が必要。
最終的には本社との合算により日本において課税されるが、香港での納税額については税額控除の対象となる。
営業活動を行っていないので原則課税は発生しない。
但し、数年に一度申告書の提出を要す。
税務上の損失 永久に繰越でき、将来の所得と相殺できる。 香港支店の損失は日本本社の利益と相殺される。
会社内容の開示 香港現法の会社登記事項が公開されるが、財務諸表は公開されない。 日本本社の登記事項の内容が公開される。また、日本本社の財務諸表及びその英訳を会社登記局に提出する必要がある。