中国
中国・個人の外貨管理規定(経常項目)に基づく中国国内口座残高の国外への送金手続き
中国での勤務が終了し日本に帰国する方で、銀行口座の残高を国外へ送金する手続きが必要となる方もいるかと思います。《個人の外貨管理弁法》(人民銀行令[2006]第3号)第十三条には「国外個人が国内で取得する経常項目下の合法な人民元収入について、本人の有効な身分証明と関連証明材料に基づき、銀行にて外貨を購入し対外送金することができる。」とされています。この前提は、給与口座の銀行において、納税記録を基に証明する収入額の範囲内で、人民元から外貨に両替して送金するということとなります。
国外への送金手続きについて、中国の身分証を有する方であればアプリで外貨購入もできますが、個人の外貨管理上、経常取引の年間外貨両替金額には一定の制限があります。
一方、外国のパスポートを有する方の場合は、窓口で手続きしなければなりません。
手続き書類は一般的には以下の通りです。
- 中国勤務に対する給与収入であることを証明する、労働契約書(若しくは派遣契約書等)
- 所属会社発行の在職と給与額の証明文書
- 本人の身分証明書(パスポート等)、ビザ頁、工作許可カード等の原本提示
- 納税証明
このうち、1及び2は、会社よりご本人のビザ申請などの際に作成若しくは準備されたものがあるか、または本業務に際しあらためて作成する必要があるかもしれません。
3.は本人の身分証明文書となります。
4.については、外国パスポート保有者でも、携帯のアプリ《自然人電子税務局》(若しくはPC等にてhttps://etax.chinatax.gov.cn/ )にログインし、「納税記録」の画面で対象期間を指定して取得することができます。このアプリは、個人所得税の確定申告や、控除申請にも利用することができますので便利です。初回ログインの前には、税務局窓口にて実名認証の上取得する「登録コード(中文:注册码)」による登録が必要となります。下記は携帯アプリでのログイン以降の画面となります。
(1)携帯アプリ《自然人電子税務局》を開いた時の画面です。
(2)手続きのアイコン(我要办税)を開きます。
(3)納税証明=納税記録発行(纳税记录开具)を開きます。
(4)期間を指定して、納税記録生成(生成纳税记录)を開きます。
携帯アプリで取得する納税記録操作は同日内の出力回数が3回までと制限されているようですが、日をあらためてご本社への送信や自己使用等の必要時、何度でも出力することが可能です。
銀行窓口に上記書類を持参し、銀行窓口担当者より、納税証明記録や給与証明等を基に、入金記録を確認した上で、対象期間分の外貨購入が可能です。購入可能枠の確認のみで後日購入することも可能ですが、購入日の銀行の両替レートに基づくことになります。直近の規定《国家外貨管理局 個人経常項目外貨業務を更に便利化することに関する通知》(滙発[2021]13号)では、同一労働契約期間内に同一銀行で合法収入の外貨購入を再度行う場合に、銀行は資料審査を重複して行わず、外貨購入備考欄に“便利化報酬外貨購入”を記載する、と資料審査の簡素化について記載されています。外貨購入を窓口手続きした後、国外送金手続きについては、窓口でも、携帯アプリでも実行することができます。
※地域や銀行により書類や手順が異なることがあります。具体的な点は口座銀行にご確認ください。