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[全訳] 『租税条約における“受益所有者”認定公告』の解釈
(原文)
租税条約事務の執行を規範化するため、2009年10月27日、『租税条約における「受益所有者」を如何に理解し、また認定するかについての通知』(国税函[2009]601号)(以下601号文とする)を規定している。実務の進展と発生する問題により、“受益所有者”問題について更に明確にする必要があると認識し本公告を制定した。本公告の主要な内容、政策についての解釈は、以下の通りである:
目次
- 一、企業成立時期等の要素から租税回避の目的がないと判定できるなら、これに基づき受益所有者の身分があると肯定できるか。
- 二、どのように601号の中にあるそれぞれの不利な原因の存在を判定するか。どの程度の不利な要因が同時に存在すると、受益所有者の身分を否定できるか。
- 三、受益所有者の身分認定は、複雑で時間を要する過程であるが、簡易的に実施できる方法を制定することはできるか。
- 四、代理人が代わりに所得を受取る場合、受益所有者は条約待遇の享受を申請できるか。
- 五、審査批准後、税務機関は再度結果を変更できるか。
- 六、受益所有者の身分認定が複雑で時間かかり、審査が規定による期限内に完成できない場合、どう処理するか。
- 七、受益所有者問題は複雑であり、明確な認定標準を統一的に制定するのは困難であるが、各地方の税務機関が具体的な案件を認定するあたっての統一的な執行をどう保証するか。
一、企業成立時期等の要素から租税回避の目的がないと判定できるなら、これに基づき受益所有者の身分があると肯定できるか。
回答 そういうことではない。これは本公告で明確にしたい問題の一つであり、受益所有者の身分の認定は、主に“形式より実質”の原則に基づき、申請者は関連する所得に対して、所有権、支配権と処理権等、処分の権利があるか否かに基づいている。即ち、租税回避の目的がなくても、申請者は上述の権利がないことにより、受益所有者の身分を備えていないことがある。
二、どのように601号の中にあるそれぞれの不利な原因の存在を判定するか。どの程度の不利な要因が同時に存在すると、受益所有者の身分を否定できるか。
回答 601号文の中にあるそれぞれの不利な要因の存在は、主に申請者から提供された関連資料に基づいて判断する。これについて明確な基準はなく、国際的に通用の方法である。実務上の中で蓄積された経験に基づき、公告においていくつかの材料を列挙しているが、税務機関は申請者が提供したこれらの資料に基づき判断し、申請者もこのような材料に基づき自分の受益所有者の身分を証明することができる。どの程度の不利な要因が同時に存在すると受益所有者の身分を否定できるかという問題について、同様に明確な回答はない。しかし公告では、ある項目にのみ(即ちある一つの項目)不利な要因が存在することにより、否定との判断はできないことを明確にしている。
三、受益所有者の身分認定は、複雑で時間を要する過程であるが、簡易的に実施できる方法を制定することはできるか。
回答:議論を経て、一つのセーフハーバーを制定したが、これは配当所得のみに適用するものである。これは国際的にも初めてでり、主に徴税コストの減少の観点から考慮したものである。セーフハーバーの規定は、締約の相手方が上場会社で当該会社が締約相手の居住者である場合、その受益所有者の身分を直接認定することができる。或いは、申請者がこのような会社に100%直接、或いは間接的に所有され、かつ双方の間に第三国或いは地区の居住者企業が存在しない場合、受益所有者の身分を直接認定することができる。
四、代理人が代わりに所得を受取る場合、受益所有者は条約待遇の享受を申請できるか。
回答 可能である。これは国際的なやり方に符合する規定である。締約相手の居住者が第三国或いは地区(中国と租税条約を締結しているか否かは関係なく)の代理人を通じて中国から所得を得る場合、このことが受益所有者の身分認定に影響することはなく、また条約待遇の享受にも影響を及ぼさない。しかし、手続上、公告は代理人は関連声明を発行する必要があることを規定しており、また代理契約書或いは代金の指定受取契約等の代理人の身分を証明できる資料を備えることが必要である。
五、審査批准後、税務機関は再度結果を変更できるか。
回答 上述した代理人を通して取得を受取る状況において、公告では、情報交換を通じて代理人の受益所有者の身分を認定できる場合、即ち各国税務当局の現有の協力体制のもと、当初の代理契約が形式のみで実質上代理人が所得に対し所有権、支配権と処分権等があると証明できる場合、税務機関は元の認定結果を変更できると特に規定している。このような規定が考慮するところは、情報交換には通常多くの時間を要するため、納税者が出きるだけ早く条約待遇を享受でき、所得を送金できるようにするためであり、必要に応じ事後において情報交換を行う選択性が設けられている。
その他の状況下での審査結果に対しては、税務システム内部で行なわれている検査或いは監督に関する関係規定に基づいて執行する。
六、受益所有者の身分認定が複雑で時間かかり、審査が規定による期限内に完成できない場合、どう処理するか。
回答 税源管理と納税者の送金の便宜の二つの観点から考慮し、公告では、受益所有者等問題で規定された期限内に審査結果を出すことが難しい場合、暫定的に条約待遇を享受しないとする処理を行うことができると規定している。事後に条約待遇を享受できると認定された場合、税務機関は相応する税金を還付しなければならない。
七、受益所有者問題は複雑であり、明確な認定標準を統一的に制定するのは困難であるが、各地方の税務機関が具体的な案件を認定するあたっての統一的な執行をどう保証するか。
回答 これは非常に重要な問題である。これに対し、他の国家(特にOECD国等先進国)の方法は、通常、国際的な税収問題を集中させて処理し、各地方の執行が一致しないことによる国家に対する不利な影響を及ぼすことを避けている。しかし、我が国税務機関の機構設置、税務総局が責任を負う司局の人力配置と現有の税収徴収管理方式を考えると、税務総局が全国各地方の受益所有者にかかわる案件を統一して処理する想定は現実的ではない。このような問題を可能なかぎり解決或いは緩和するため、公告において、申請者の受益所有者の身分を否定するときは、省級の税務機関の批准を必要とし、税務総局に報告しなければならないと規定している。その他、同じ納税者が類似した状況について異なる地区の税務機関に条約待遇を申請し受益所有者の身分認定に関わる場合、税務機関に状況を説明することができ、関係税務機関は連絡、協議して解決し、同じ結果を出すべきであると規定している。関係税務機関が協議して一致できない場合には、共通の上級税務機関に報告して処理しなければばらない。