中国 M&A
[M&Aは今] (18)審査認可手続き
中国における外国企業による合併買収についての説明の続きです。買収対象が中国企業の資産の場合と、外商投資企業の持分譲渡を行う場合の認可申請文書を紹介します。
外国企業が行うM&Aの中で、新たに外商投資企業を設立し中国資本企業の資産を合併買収する場合、元の債権及び債務を継承する必要はありません。資産を売却する国内企業は、外国投資者が審査認可機関へ申請文書を提出する15日前までに債権者へ通知書を発行し、且つ全国版の、省レベル以上の新聞に公告しなければならないとされています。
外国投資者は、設立予定の外商投資企業の定款(及び、ある場合は契約)の中で出資期限を規定すること、或いは、外商投資企業を設立してから資産購入を協議し当該資産を運用する場合には、外商投資企業営業許可証発行から3ヶ月以内に、資産価額分の出資は全額払い込んだうえ資産価額を支払わなければなりません。
外国企業が中国資本企業の資産を買収し、設立する外商投資企業の投資総額は買収資産の取引価格及び実際の生産経営規模に基づいて確定しなければなりません。
資産の買収合意書には以下の内容を含めることとされています。
- 当事者各社の状況。名称(氏名)、住所、法定代表者の氏名、職務、国籍など
- 買収予定資産のリスト及び価額
- 買収合意の履行期限、履行方式
- 当事者各社の権利・義務
- 違約責任、争議の解決について
- 合意署名の日時、場所
外国企業が資産を合併買収する場合、設立予定の外商投資企業の投資総額、従事する業種に基づいて、認可権限に応じて、相応の認可権限を持つ認可機構へ下記のような資料を提出します。
- 国内企業の財産権保有者或いは権力機構の資産売却同意の決議
- 外商投資企業設立申請書
- 設立予定の外商投資企業の定款(合弁企業の場合、及び契約)
- 設立予定の外商投資企業と国内企業が署名した資産買収合意、或いは外国企業と国内企業が署名した資産買収合意
- 被合併買収企業の定款、営業許可証
- 被合併買収企業が債権者に通知、公告した証明、及び債権者が異議を提出したか否かの説明
- 公証或いは認証を経た投資者の身分証明書或いは開業証明、関係する資本信用証明書
- 被合併買収国内企業従業員の配置計画
- 債権・債務処置、資産評価、買収合併当事者の関連関係に関し要求される資料
- 買収する資産が政府機関の許認可に関連する場合、その許認可文書
設立認可取得後、30日以内に登記管理期間で設立登記を申請し営業許可証を取得します。設立後当該資産を経営活動に用いることが認められています。
対象企業が外商投資企業である場合
外国企業によるM&Aの対象が外商投資企業であるとき、対象企業は、外商投資企業の持分譲渡についての認可を得ることとなります。深?市貿易工業局の規定する提出資料の例をご紹介します。
基本資料としては以下の通りです。
- 企業の董事長が署名する申請報告書
- 企業の董事会会議で一致同意する株主変更決議
- 企業各株主が持分変更を認める書面意見
- 企業の設立認可文書及び変更事項の批准文書、批准証書、営業許可証
- 最新の験資報告書
- 持分変更後の修正合弁契約(合弁企業の場合)及び定款或いは補充契約及び定款、元の契約及び定款
- 新たな投資者の登録登記証書(公証を経たもの)、資本信用証明
- 持分変更記入後の《外商投資企業批准証書控え》(フォーマット)
- 外国投資者が中国国内の文書送達を授権し委託する《法律文書送達授権委託書》(フォーマット)
- 対象企業の株主間で全部或いは一部の持分を譲渡する場合、及び新たな投資者に全て或いは一部の持分を譲渡する場合、持分譲渡協議書
- 企業が登録資本を増加するが、元の株主比率が変更する場合、及び新株主により登録資本を増加する場合、各株主が署名する持ち株変更協議書(注:持分変更後の修正合弁契約に既に持分変更協議の内容が含まれる場合は提出不要とされる)
(本文以上)