中国
[全訳] 中国・会計従業資格管理弁法
―― 会計従業資格管理弁法 ――
《会計従業資格管理弁法》に関して、2012年12月5日、財政部部務会議を通じて修正決議がなされたので、修正後の《会計従業資格管理弁法》を公布し、2013年7月1日より施行する。
部長 謝旭人
2012年12月10日
第一章 総則
第一条 会計従業資格管理を強化し、会計人員の行為を規範化にするために、《中華人民共和国会計法》(以下《会計法》という)及びその関連法律の規定に基づいて、当弁法を制定する。
第二条 会計従業資格の取得及び管理には当弁法を適用する。
第三条 国家機関、社会団体、企業、事業単位及びその他組織(以下「企業等」と総称する)の内部で会計機構の責任者(会計主管)となる人員、及び下記の会計業務に従事する人員は、会計従業資格を取得しなければならない。
(一)出納
(二)照合
(三)資本、基金の計算
(四)収入、支出、債権債務の計算
(五)職員給与、原価費用、財務成果の計算
(六)資産の受入と発送、増減計算
(七)総勘定元帳の記帳
(八)財務諸表の作成
(九)会計機構内部の会計文書管理
(十)その他の会計業務
第四条 企業等は会計従業資格を有さない人員を採用(招聘)し、会計業務に従事させてはならない。
会計従業資格を有さない人員は会計業務に従事してはならず、会計専門技術資格試験の受験、会計専門技術職への就任、会計人員栄誉証書の申請も認められない。
第五条 当弁法に別途規定がある場合を除き、県級以上の地方人民政府財政部門が当行政区域の会計従業資格管理の責任を負う。
第六条 財政部は中共中央直属機関事務管理局、国務院機関事務管理局に北京に所在する企業等の会計従業資格の管理を委託する。
新疆生産建設兵団財務局は所属企業等の会計従業資格の管理を担当する。
財政部は鉄道部に鉄路システムの会計従業資格の管理を委託する。
財政部は中国人民解放軍総後方勤務部、中国人民武装警察部隊後方勤務部に中国人民解放軍、中国人民武装警察部隊システムの会計従業資格の管理を委託する。
第二章 会計従業資格の取得
第七条 国家は会計従業資格試験制度を実施する。
第八条 以下の条件に合致する者は会計従業資格試験を受験することができる。
(一) 会計その他の財経法規を遵守している。
(二) 良好な倫理観を有する。
(三) 会計に関する基礎的な知識・技能を有する。
《会計法》第四十二条、第四十三条、第四十四条に定める違法状況により法律に基づき会計従業資格の停止処分を受けた人員は、停止日より5年間は会計従業資格試験を受験できず、会計従業資格証書の更新も認められない。
虚偽の財務会計報告書の作成、粉飾決済、会計証憑、会計帳簿、財務会計報告書の隠匿又は意図的な廃棄、汚職、公金流用、職務横領等の会計職務に関わる違法行為により、法律によって刑事責任を問われる者は、会計従業資格試験を受験できず、会計従業資格証書の更新も認められない。
第九条 県級以上の地方人民政府財政部門、新疆生産建設兵団財務局、中共中央直属機関事務管理局、国務院機関事務管理局、鉄道部、中国人民解放軍総後方勤務部、中国人民武装警察部隊後方勤務部(以下「会計従業資格管理機構」という)は会計従業資格試験の受験者を審査し、条件に該当する者には受験を認める。
第十条 会計従業資格試験科目は、財経法規、会計職業道徳、会計基礎、会計電算化(或いは珠算)の4科目とする。
試験の要綱と合格基準は、財政部が制定・公布する。
会計従業資格試験はペーパーレス試験であり、財政部が試験問題を作成する。試験規則は財政部が別途定める。
第十一条 会計従業資格試験は全科目を一度に合格しなければならない。
会計従業資格管理機構は試験終了後、適時に試験結果を発表し、合格者には発表日より6ヶ月以内に指定された会計従業資格管理機構にて会計従業資格証書を受領す旨を通知する。
合格者は自身の有効な身分証明書を提示し、期限内に指定の場所にて会計従業資格証書を受領する。
会計従業資格証書の受領は代理人に委託することもできる。代理人は証書を受領する時、本人と委託者の有効な身分証明書の原本を提示する必要がある。
第十二条 各省、自治区、直轄市、計画単独列示市財政庁(局)(以下「省級財政部門」という)、新疆生産建設兵団財務局、中共中央直属機関事務管理局、国務院機関事務管理局、鉄道部、中国人民解放軍総後方勤務部、中国人民武装警察部隊後方勤務部(以下「中央主管単位」という)は当弁法の第五条、第六条に定める管理範囲によって、会計従業資格試験に関して以下を行う。
(一)会計従業資格試験規則の制定
(二)会計従業資格試験ソフトウェアシステムの構築・管理
(三)財政部から配布される試験問題集の受領・管理
(四)会計従業資格試験の実施
(五)会計従業資格試験の監督、規定違反行為の処罰。
省級財政部門、新疆生産建設兵団財務局及び中央主管単位は当弁法に基づいて、会計従業資格試験の申込方法、規則、要求事項、受験要件及び試験科目を制定・公布する。
第十三条 会計従業資格試験の受験料の基準は国家物価管理部門の関連規定によって規定される。
第十四条 財政部により会計従業資格証書の様式と番号規則を規定する。
省級財政部門は当地区における会計従業資格証書の印刷及び作成を担当し、新疆生産建設兵団財務局及び中央主管単位は本部門、本システムにおける会計従業資格証書の印刷及び作成に責任を負う。
第十五条 会計従業資格証書は会計従業資格の保有を証明し、有効範囲は全国に及ぶ。
会計従業資格証書を有する者(以下「資格保有者」という)は、会計従業資格証書の改竄・貸与を行ってはならない。
第三章 会計従業資格管理
第十六条 能力と職業倫理を向上させるため、資格保有者は継続教育を受ける。
継続教育は単位制とする。当該継続教育に関する規定は財政部が別途制定する。
第十七条 会計従業資格管理機構は資格保有者に対する継続教育の監督・指導を強化する。企業等は資格保有者の継続教育への参加を奨励・支援し、学習時間の保証や必要な学習条件の整備に努める。
第十八条 会計従業資格管理機構は継続教育を行う研修機関を監督・指導し、研修機関間の競争環境の実現、研修水準の確保を図る。
第十九条 会計従業資格のシステム管理を実施する。会計従業資格管理機構は資格保有者の就業記録に関する情報システムを構築し、資格保有者の以下の情報を適時に記録・更新する。
(一)資格保有者に関する基本情報
(二)資格保有者の会計業務への従事状況
(三)資格保有者の変更・転職登記情報
(四)会計従業資格証書の更新状況
(五)継続教育の受講状況
(六)資格保有者に対する表彰・奨励に関する状況
(七)会計法規等及び職業倫理への違反による処罰に関する状況
第二十条 資格保有者の氏名、有効な身分証明書及び番号、写真、学歴又は学位、会計専門技術職務資格、会計業務開始日等の基礎情報及び第十九条(五)、(六)の内容に変更が生じた場合、有効な関連証明資料及び会計従業資格証書を提示して、所属する会計従業資格管理機構にて就業記録の変更を申請する。会計従業資格管理機構は変更内容を確認した上で就業記録を変更する。
上記以外の情報に変更が生じた場合、所属する会計従業資格管理機構において変更を申請する以外に、同機構が指定するウェブサイトを通して情報の変更を行うこともできる。
第二十一条 資格保有者は所属する会計従業資格管理機構に変更があれば適時に移転登記を行う。
各省級財政部門、新疆生産建設兵団財務局、中央主管単位の管轄範囲内の変更であれば、会計従業資格証書、在職証明(或いは戸籍証明、居住証明)を提示して、転入地の会計従業資格管理機構において移転登記を行う。上述の管轄範囲をまたぐ変更であれば、適時に移転登記表を記入し、会計従業資格証書を提示して従来の会計従業資格管理機構において転出手続を行う。転出手続日より3ヶ月以内に会計従業資格証書、移転登記表、転入地の在職証明(或いは戸籍証明、居住証明)を提示して転入先の会計従業資格管理機構において転入手続を行う。
第二十二条 資格保有者は会計従業資格証書を適切に保管する。会計従業資格証書を喪失した場合は、公告手続を行った後に再発行申請書を記入し、証明資料を提示して所属する会計従業資格管理機構において会計従業資格証書の再発行を申請する。会計従業資格管理機構は確認の後、受理日より20営業日以内に再発行を行う。
会計従業資格証書が破損した場合、再発行申請書を記入し、破損した証書原本を持って、所属する会計従業資格管理機構において会計従業資格証書の再発行を申請する。会計従業資格管理機構は確認の後、受理日より20営業日以内に再発行を行う。
第二十三条 会計従業資格証書は6年ごとに更新する。資格保有者は会計従業資格証書の有効期限の6ヶ月前から、定期更新登記書を記入し、有効な身分証明書の原本と会計従業資格証書を提示して所属する会計従業資格管理機構において更新手続を行うことができる。
第二十四条 以下の場合、会計従業資格管理機構は会計従業資格の発行を取り消すことができる。
(一) 会計従業資格管理機構の係員の職権の濫用、もしくは職務の怠慢による会計従業資格の発行
(二) 法定の職権を超えた、もしくは法定の手順に従わない会計従業資格の発行
(三) 会計従業資格を有さない者に対する会計従業資格の発行
詐欺、賄賂、不正行為等の手段により会計従業資格が発行された場合は、会計従業資格管理機構は当該発行を必ず取り消さなければならない。
第二十五条 資格保有者が下記の状況に該当する場合、会計従業資格管理機構は資格者の会計従業資格を抹消する。
(一) 死亡或いは行為能力の喪失
(二) 法律による会計従業資格の停止
第二十六条 会計従業資格管理機構は会計従業資格証書の受領、更新、移転、変更登記に関する条件、手順、期限、必要資料案内、申請登記表サンプル等を機構内において、もしくは指定のウェブサイトにおいて公示する。申請登記表サンプルは無料で提供する、もしくは指定のウェブサイトからダウンロードできるようにする。
第二十七条 会計従業資格管理機構は以下の状況について監督・検査を実施する。
(一) 会計業務従事者の資格保有状況
(二) 会計従業資格証書の更新、移転、変更登記に関する状況
(三) 資格保有者の会計業務への従事状況及び国家統一会計制度の遵守状況
(四) 資格保有者の職業倫理の遵守状況
(五) 資格保有者の継続教育の受講状況
会計従業資格管理機構による監督・検査に対して、資格保有者は実情に即して関連状況の報告と資料の提出を行い、企業等はこれに協力する。
第二十八条 企業等及び個人は当弁法への違反を告発することができる。会計従業資格管理機構は適時に確認・処分を行い、告発者に関する機密は保持する。
第二十九条 資格保有者は会計従業資格管理機構による処分・処罰に対して弁明し、法律に従って行政不服審査又は行政訴訟を提起する権利を持つ。
第四章 法律責任
第三十条 会計従業資格試験での不正行為が発覚すると、2年間は会計従業資格試験を受験することができない。試験成績は取り消され、取得した会計従業資格も取り消される。
第三十一条 以下の状況に該当する場合、資格保有者は会計従業資格管理機構から期限内の是正を要求される。
(一) 継続教育を受講していない、もしくは取得単位数が不足している。
(二) 当弁法に従って移転登記を行っていない。
(三) 当弁法に従って情報の更新を行っていない。
第三十二条 会計従業資格の管理に当たって、会計従業資格管理機構及びその担当者に職権濫用、職務怠慢、不正行為があれば、法律に従って処罰を科す。これらの行為が犯罪行為を構成する場合は、法律に従って刑事責任も追及する。
第三十三条 会計従業資格管理機構の担当者が当弁法第二十八条の規定に反し、告発者の氏名と告発資料を被告発企業・個人に明かした場合、もしくは保守すべき機密を外部に漏らした場合、所属する機関又は関連の機関は当該担当者に処分を与える。これらの行為が犯罪行為を構成する場合は、法律に従って刑事責任も追及する。
第五章 付則
第三十四条 省級財政部門、新疆生産建設兵団財務局及び中央主管単位は当弁法に基づいて、具体的な実施細則を制定し、財政部に登録することができる。
第三十五条 香港特別行政区、マカオ特別行政区、台湾地区及び外国の居住者の中国国内における会計従業資格の取得及び管理に対しても当弁法を適用する。
第三十六条 当弁法施行前に高級会計士に就任している、もしくは20年以上の会計業務の経験を有している者は、年齢が50歳以上で、現在も会計業務に従事していれば、企業証明等の資料を提出して会計従業資格証書の発行を申請することが認められる。会計従業資格管理機構は確認の後、会計従業資格証書の発行を行う。公認会計士資格を取得し、現在会計業務に従事している者についても同様。
第三十七条 当弁法は2013年7月1日より施行する。財政部が2005年1月22日に公布した《会計従業資格管理弁法》(財政部令第26号)は同時に廃止する。