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[華南ビジネス] 広州市の工商登記における住所制限の緩和について
企業の登記制度の改革において、広州市は2014年に《広州市商事登記暫定弁法》を発布し、住所登記と経営場所について備案(届出)制度を実施する中で、次のような政策を講じて商事制度改革を進めてきました。
- 政府認可の専門の園区内に登記する、資本関連のある企業同士の登記に対し同一住所の登記を認める‟一住所複数証書”(中国語で「一址多照」)を認める。
- 同一行政区内で別途経営場所を設置する場合、分枝機構の営業許可証発行を申請する必要はなく、工商部門にて経営場所情報を備案するのみの‟一証書複数住所”(「一照多址」)を認める。
- 建物賃貸備案証明を以て営業許可証発行の前提とする規定を取消す。
中国政府が企業の設立登記条件を登録資本登記制度改革等で緩和してきている方針を受け、広州市政府弁公庁より、登記及び経営住所に関する更なる制限緩和策に対する意見(《広州市人民政府弁公庁 商事主体住所・経営場所条件の更なる緩和についての意見》)が5月31日付で発布されており、発布日より施行、有効期間を5年とするとしています。これにより今後具体的な広州市各区の工商局による運用事例が出てくることが期待されます。意見の内容は簡単に次の通りです。
1.‟一住所複数証書”の更なる緩和について、これまでの地域制限と、企業の資本関係という条件を緩和し、不動産所有者或はその経営管理授権者が書面で同意するならば、複数の
商事主体が同一住所に登記住所或は経営場所を登記、備案することを認める。但し、分公司の経営場所とその総公司の住所(経営場所)を同一住所にしてはならない。
2.“一証書複数住所”の緩和について、広州市に登記する企業(公司、非公司企業法人、パートナーシップ企業、個人独資企業及びその分子機構)がその登記住所以外に、市内で経営場所を設置する場合、分子機構の設立登記を行わなくても良い。但し、備案手続きを行わなければならない。
3.住所・経営場所条件の緩和について、以下の情況に応じた使用証明を提出して工商登記を行う。
(1)区以上の人民政府或は行政部門認可により設立された工業園、科技園、産業園、インキュベーションセンター、戦略性新興産業基地等の園区或は、高等教育、市レベル以上の科学研究単位範囲内に位置する場合、園区管理委員会(高校、市以上科学研究単位)発行の場所使用証明を提出する。
(2)広東自由貿易区南沙新区エリア、広州経済技術開発区(知識城、国際生物島を含む)、天河中央商務区内の場合、管理機構或は授権部門の発行する場所使用証明を提出する。
(3)既に市場登記された市場内の場合、市場企業営業許可証と店舗賃貸契約を場所使用証明とする。
(4)ホテル等宿泊業を主要営業項目とする商事主体内である場合、ホテル等商事主体の営業許可証と賃貸契約書を場所の使用証明とする。
(5)不動産権利証書(中国語で「房屋产权证明」)を未取得の場所である場合、当地人民政府或はその派出機構、村民(居民)委員会等の部門(単位)が発行した場所使用証明を提出する。
(6)住宅に属する場所で、申請者が電子商務、店舗の無いネット取引、コンサルティング、工業設計、株式投資、コンサルティング代理等、汚染や危険の無い業種に従事する場合、当地人民政府或はその派出機構、村民(居民)委員会等の部門(単位)が、利害関係人の同意を経て発行した場所使用証明を提出する。但し、住宅において飲食、娯楽、スパ、生産加工、可燃性物品の販売、保管等、環境汚染や住民の迷惑、生命財産の安全にかかわる業種に従事してはならない。その他の情況について、商事主体登記上の要求に基づいて場所証明資料を提出する。
この他、専門園区内で電子商務やIT業種等の企業の企業登記と実際経営場所が異なる場合、その企業登記を商務秘書会社と同一住所とし、行政手続きを商務秘書会社に委託することを認めています。
※各地の運用状況が異なる場合があります。各所在地にて再度ご確認ください。