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広東省従業員生育保険規定の施行について (2)

2015年1月1日より広東省で統一して規定された生育保険規定(《広東省従業員生育保険規定》が施行されていますが、広州市、深セン市での具体的な規定が発布され、運用が開始されていますので、以下に紹介します。

[生育保険比率の適切な引き下げについての通知]
2015年初めには人力資源と社会保障局により、地域の格差や企業負担軽減等を考慮し社会保険比率を調整する方針が述べられていました。これに伴い、失業保険が3月より引き下げ、工傷保険(=労災保険)が7月より調整の通知が発布されていました。
生育保険基金残高が待遇支出額の9月分を超える地域は、生育保険比率を従業員総額の0.5%以内に引き下げることに国務院が同意した通知が発布され、10月1日から施行となっています。これにより深せん市は1%⇒0.5%へ引き下げ、一方広州市は現状基金残高7億~8億元で6か月分に満たないとして(8月時点の新聞報道による)、従前の0.85%を暫時変更しないとしています。

[深セン市生育保険規定]
広東省規定に沿って行うほか、深セン市規定は以下の通り。

  • 変更点
    ・従来生育保険加入者の給与は直接企業が負担する形式であったが、施行後加入企業は生育手当を申請し受領、負担軽減
    ・従業員の生育休暇期間に取得する生育手当に対し個人所得税は免除となり、個人の税負担軽減
    ・従業員は出産後一定期間内に会社の生育手当申請に必要な資料を会社へ提出しなければならない。
    ・自分の給与額ではなく、社内の平均給与に基づいて生育手当を受給する。
  • 納付基数・基数
    企業納付額 = 企業の前月度の従業員給与総額×納付比率(10月より0.5%)
    ※設立初年度の企業は当月度の給与総額を基数とする。
  • 生育手当受給条件
    生育保険加入後1年以上の従業員。1年未満の場合、1年が経過した後更に1年以内に申請すること。
    深セン市では2015年3月より当該規定に基づく受給を開始、以前は医療保険に組みこまれていたため、1-2月度に出産したケースがある場合、企業より別途生育手当受給申請手続きが必要。
    また深セン市では2016年1月1日以降、ネットでの生育手当申請手続きを開始する計画で、先ずネットで関連資料提出し初審を経た後、窓口に資料提出する手順となる。

[広州市生育保険規定]
広東省規定のほか、広州市の規定は以下の通り。

  • 変更点
    ・従前と同様に、生育手当を企業が申請する方式
    ・従前は妊娠16週後に初回の産前検査、且つ検査には回数の制限があったが、新規定では12週まで前倒しされ、回数制限は無くなった。
    ・生育保険加入1年未満の従業員は1年後に生育医療費用の精算申請、生育手当申請が可能である。
    ・受給項目から“一、二級医院分娩補助費”及び“一回性分娩栄養補助費”は取消されることとなり、広東省規定に沿って“生育医療費用”と“生育手当”のみとなった。また、配偶者の育児看護休暇は、一人っ子奨励35日産休及び晩婚奨励15日休暇と合わせて、企業より支払うとされた。
  • 納付基数・基数
    企業納付額=企業の前月度の従業員給与総額×納付比率(0.85%)
    ※設立初年度の企業は当月度の給与総額を基数とする。
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  • 生育保険休暇日数
    広州市の規定では、出産(98日)、難産(30日)、多胎出産(1人当たり15日)は広東省規定と同様であるが、流産規定は妊娠2か月未満:15日、2か月以上4か月未満:30日、4か月以上7か月未満45日、7か月以上の流産或は死産は75日と規定されている。
  • 生育手当受給条件
    生育保険加入後1年以上の従業員。1年未満の場合、1年が経過した後更に1年以内に申請すること。
  • 2015年10月1日施行、有効期間5年とする。(2015年8月11日発布)

※各地の運用状況が異なる場合があります。各所在地にて再度ご確認ください。