中国 個人所得税
[全訳] 中国・個人所得税専用項目附加控除暫行弁法(意見募集稿)意見公募
8月31日にて全人大常務委員会審議を経て通過した新個人所得税法の実行のため、我々は個人所得税専用項目控除暫行弁法(意見公募)を作成し、社会向けに意見を公募する。公衆は2018年11月4日までに、以下の方式に従い意見を提出することができる。
- 国家税務総局ホームページにて(HP:http://www.chinatax.gov.cn)意見公募システムへ提出。
- 書簡による意見を北京市海淀区羊坊店西路5号所得税司へ(郵便番号:100038)郵送。封筒に「個人所得税専用項目附加控除意見公募」と明記する。
添付書類:個人所得税専用項目附加控除暫行弁法(意見募集稿)
財政部 国家税務総局
2018年10月20日
(意見募集稿)
第一章 総則
第一条
「中華人民共和国個人所得税法」の規定に基づき本弁法を定める。
第二条
個人所得税専用項目附加控除は納税者の年度総合所得課税所得の中から控除する。本年度に控除しきれない場合は翌年度以降に繰越して控除することはできない。
本弁法における個人所得税専用項目附加控除とは、個人所得税法に定めた子女教育費・継続教育費・重病治療費・住宅ローン利息・住宅家賃及び高齢者扶養費等の6種専用項目附加控除を指す。
第三条
個人所得税専用項目附加控除は公平で合理的・簡便容易な実行・確実な負担減軽・民生改善を原則として遵従する。
第四条
教育・住宅・医療等の民生支出の変動状況に基づき、専用項目附加控除範囲及び基準を随時調整する。
第二章 子女教育費専用項目附加控除
第五条
納税者の子女の就学前教育及び学歴教育に関する支出は毎年子女1人当たり12000元(毎月1000元を基準として控除する。
前款の就学前教育とは満3歳から小学校入学前の教育を含む。学歴教育は義務教育(小学から中学校の教育)、高校段階教育(普通高等中学・中等職業教育)、高等教育(大学専科・大学本科・修士研究生・博士研究生教育)を含む。
第六条
教育を受ける子女の親はそれぞれ基準の50%を控除する。親同士の約束に基づき、一方が基準の100%を控除することができる。具体的な控除方式は1納税年度内は変更することはできない。
第三章 継続教育費専用項目附加控除
第七条
納税者の継続教育支出はその教育期間内に毎年4800元(毎月400元)を定額控除する。納税者の技能職業資格継続教育支出・専門技術者職業資格継続教育支出について、関連する証明書を取得した年度に毎年3600元を定額控除する。
第八条
個人が同一の学歴教育を受け、本弁法の控除条件を満たす場合、当該教育支出はその親が子女教育費として控除することができ、又は本人が自分の継続教育費として課税所得から控除することもできるが、同時に控除することはできない。
第四章 重病医療費専用項目附加控除
第九条
1納税年度内に社会医療保険管理情報システムにて記録された(医療保険目録範囲内の自己負担部分及び医療保険目録範囲外の自費部分を含む)15000元を超える個人負担部分の医療費用を重病支出とし、重病医療費は実際に発生した費用に基づき、毎年最高60000元を基準限度額として控除することができる。重病医療専用項目附加控除は納税者が年度確定申告する際に控除する。
第十条
納税者が発生した重病医療費は本人より控除する。
第十一条
納税者は医療サービス支出関連証憑の原本(又は証憑の写し)を保存しなければならない。
第五章 住宅ローン利息専用項目
第十二条
納税者又は配偶者が本人又は配偶者の為、商業銀行若しくは住宅積立金を利用して住宅購入時に発生した1軒目の住宅ローン利息支出について、返済期間内に毎年12000元(毎月1000元)を定額として控除することができる。1軒目ではない住宅を購入する場合の住宅ローンの利息支出については控除することはできない。納税者は1軒の住宅ローン利息しか控除することはできない。
第十三条
夫妻双方による約束の上で、どちらか一方のみが控除することを選択することができる。但し、具体的な控除方式は1納税年度内は変更することはできない。
第十四条
納税者は住宅ローン契約書・返済明細証憑を保管しなければならない。
第六章 住宅家賃専用項目附加控除
第十五条
納税者本人若しくは配偶者が納税者の主要勤務地にて住宅を所有しない場合、主要勤務地で発生した住宅家賃は以下の基準定額の通りに控除することができる。
(一)賃借住宅が直轄市・省会都市・計画単列市及び国務院が確定したその他都市にある場合、その控除基準は毎年14400元(毎月1200元)である。
(二)賃借住宅がその他都市、市轄区の戸籍人口が100万人超の場合、その控除基準は毎年12000元(毎月1000元)である。
(三)賃借住宅がその他都市、市轄区の戸籍人口が100万人以下の場合、その控除基準は毎年9600元(毎月800元)である。
第十六条
主要勤務地とは、納税者が雇用された所属地である。雇用単位がない場合は納税者の常住居住地とする。都市の範囲とは直轄市・計画単列市・副省級都市・地級市(地区、州、盟)の全ての行政区域である。
夫妻の双方が同じ都市に勤務する場合はどちらか一方しか控除することができない。夫妻の双方の勤務地が同一地ではなく、且つ双方が主要勤務地に住宅を所有しない場合は各自控除することができる。
第十七条
住宅家賃専用項目控除は賃貸契約を締結する人が行う。
第十八条
納税者と配偶者はそれぞれ同時に住宅ローン利息専用項目附加控除及び住宅家賃専用項目附加控除を享受してはいけない。
第十九条
納税者は住宅賃貸契約書を保管しなければならない。
第七章 高齢者扶養費専用項目附加控除
第二十条
納税者は60歳以上(60歳を含む)の親及びその他法定扶養人に対する扶養費を以下の基準定額にて控除することができる。
(一)納税者が一人っ子である場合、毎年24000元(毎月2000元)の基準定額を控除することができる。
(二)納税者が一人っ子ではない場合、毎年24000元(毎月2000元を限度として兄弟姉妹と分担する。分担方法は平均分担、被扶養人による指定分担、又は約束分担とする。具体的な分担方法は1納税年度内に変更することはできない。指定分担又は約束分担を利用した場合、納税者1人の分担控除額は毎年12000元(毎月1000元)を超えることはできず、且つ書面的な分担協議を締結する必要がある。指定分担と約束分担が一致しない場合は指定分担を基準とする。納税者が2人及び2人以上の高齢者を扶養する場合でも、控除額は高齢者の人数によって倍増しない。
第二十一条
その他法定扶養人とは、祖父母の子供が既に無くなった場合の、祖父母の扶養義務を負担する孫を指す。
第八章 徴収管理
第二十二条
納税者は費用の受領単位より発票・財政証憑・支出証憑を受領する権利があり、提出側はその提供を拒否することはできない。
第二十三条
納税者が初回に専用項目附加控除を享受する場合、関連する情報を源泉徴収義務者若しくは税務機関に提出しなければならない。源泉徴収義務者は納税者の関連情報を速やかに税務機関に報告し、納税者は情報の真実性の責任を負う。専用項目附加控除情報が変更する場合、速やかに源泉徴収義務者若しくは税務機関に変更後の情報を提出しなければならない。
前款に述べた専用項目附加控除に関する情報とは、納税者本人・配偶者・未成年子女・被扶養高齢者等の個人身分情報、及び国務院税務主管部門が定めた専用項目附加控除に関するその他情報である。
第二十四条
関連部門と単位は税務部門に以下の専用項目附加控除に関する情報を提出、若しくはその真実性確認に協力しなければならない。
(一)公安部門
身分情報・戸籍情報・出入国情報・出国留学人員の情報・公民死亡などの情報。
(二)衛生健康部門
出生医学証明書・一人っ子情報。
(三)民政部門・外務部門・最高裁判所
婚姻登記情報
(四)教育部門
学生の学籍情報(学歴継続教育を受ける学生の学籍情報を含む)、若しくは関連部門に登録した海外教育機構資質情報。
(五)人力資源社会保障等の部門
学歴継続教育を受ける学生の学籍情報(職業技能教育)・職業資格生涯教育・技術資格生涯教育情報。
(六)財政部門
継続教育に関する財政証憑情報。
(七)住宅城郷建設部門:家屋賃貸情報・住宅積立金管理機構
住宅積立金ローンを返済支出情報。
(八)自然資源部門
不動産登記情報。
(九)人民銀行・金融監督管理部門
住宅商業ローンの返済支出情報。
(十)医療保障部門
個人負担の医薬費用情報。
(十一)その他情報
上記データの様式・基準・共有方式は国務院税務主管部門が定める。
関連部門及び単位は専用項目附加控除に関する情報を所有し、税務部門に提供を拒否する場合、税務部門は同級国家監察機関へ法律に従いその部門の主要責任者及び関連人員への責任追及の要請を行うことができる。
第二十五条
源泉徴収義務者は納税者が提出した情報通りに源泉徴収申告を行わなければならず、勝手に関連情報を変更することはできない。
源泉徴収義務者は納税者が偽造した情報の申告を発見した場合は納税者に対し改正を要請しなければならない。納税者が改正を拒否する場合、源泉徴収義務者は税務局に対し告知義務がある。
第二十六条
税務機関は専用項目附加控除情報を確認する際、関連部門・企事業単位と個人が協力しなければならない。
税務機関は専用項目附加控除情報を確認する際、納税者が情報を提供しない、又は偽造情報を提供する場合は、納税者と源泉徴収義務者を通報する。五年以内に上記状況が再度発見された場合、納税人信用記録に明記し、関連部門と合同で懲戒を行う。
第九章 附則
第二十七条
本弁法の父母とは、生みの父母・義父母・養父母を称する。本弁法の子女とは、実子・婚外子・養子を称する。父母以外のその他が未成年の後見人である場合は、本弁法の規定に基づき執行する。
第二十八条
外国籍個人が子女教育・継続教育・住宅ローン利息又は住宅家賃専用項目附加控除条件を満たす場合、上記の控除項目を選択することができる。現行の子女教育費・語学訓練費・住宅手当の免税優遇対策を享受することもできるが、同一の支出事項を同時に享受することはできない。
第二十九条
具体的な実施方法は、国務院税務主管部門より別途制定する。
第三十条
本弁法は2019年1月1日より施行する。