中国 中国会計税務
[中国会計] 中国の国家統一会計制度(9)
中国の国家統一会計制度における「支払決済」(中国語:支付結算)について、第5回から紹介してきました。今回は、改めて中国の支払決済の基本要求を確認するとともに、前回の手形決済に属さない、「非手形決済」(中国語:非票据決算)方式について紹介をいたします。
1.支払決済の基本原則
支払決済の基本原則は、個人や企業等及び銀行が支払決済を行う過程において遵守しなければならないものとして、『支付結算弁法』に以下の3項目が規定されています。
1)信用遵守、支払の履行
支払決済は信用を基礎として成り立つものであり、支払決済の当事者は、双方の約定に基づき権利を保有し、義務を負担します。とりわけ支払方には、約定に従い、支払い義務を履行することを求めるものです。
2)その者の金銭はその者の口座に入金し、その者が支配する
国家、企業、個人のいずれであっても、その金銭は適時に入金されるべきであり、自己が保有する金銭は随時支配する権利を有するものとし、銀行は支払決済サービスを行うとき、顧客の意思表示に従って処理を行い、当事者間の取引紛糾に介入してはならないことを求めるものです。
3)銀行の立替禁止
銀行は決済及び資金清算の仲介機構で、支払決済の過程において、その責任は決済当事者間の資金移転手続きを行うことであり、決済当事者の一方の如何なる資金も立て替えてはならないことを求めるものです。これは、当座貸越や盲目的な信用貸しを防止することで、銀行が決済処理において損害を被らないようにするための原則です。
2.非手形決済
<為替決済方式>
為替決済方式(中国語:兌匯決算)とは、送金為替を組むことで、離れた場所の間で直接に現金を送ることなく、資金の受け渡しを行うことで決済する方法です。支払者が銀行に委託して受取人に支払いが行われるもので、電信為替と郵便為替の2種類があります。個人、企業等のあらゆる取引に使用することができますが、同一都市や同一の手形交換所の区域の決済には用いられません。
<委託代理取立て方式>
委託代理取立て方式(中国語:委托収款)とは、受取人が銀行に委託して支払人から金員を受け取る決済方法です。個人、企業にかかわらず、銀行口座を開設していれば、手形の引受や債券等支払人の債務の証明に基づいてこの方法により決済することができます。
<クレジットカード>
クレジットカード(中国語:信用卡)とは、商業銀行が中国人民銀行の批准を得て個人または企業等に発行するもので、特約店でのショッピングや消費、銀行での現金出し入れができ、かつ、消費信用を備えるもので、これも支払決済の一つの形となります。 中国国内の金融機関に基本口座を持つ企業であれば、申請して受け取ることができ、法人カードの資金は一律にその法人の基本口座から振り替えられるものとなります。使用に当たっては信用調査が行われ、使用額について一定の限度額が設けられています。
<銀行取立て決済方式>
銀行取立て決済方式(中国語:托収承付)とは、支払人及び受取人が国有企業である場合に適用できるもので、売買契約に基づき、代金受取が出荷後、異なる地域の支払人から代金を受け取ることを銀行に委託し、支払人が銀行に支払うことを承認する方式。