中国 中国会計税務

[中国会計] 中国の国家統一会計制度(43)

 主要な経済取引にかかる会計科目に関する記帳処理などを紹介していきます。今回は営業外収支項目のうち営業外収入について紹介します。紹介する内容は、基本的には企業会計準則(新準則)に基づきます。

1.営業外収支項目

 日本の損益計算書における営業外収益及び営業外費用は、企業の財務活動や投資活動など、本業以外の主に財務活動から生じる収益及び費用ですが、前回に説明した通り、中国の損益計算書である利潤表では、これらの項目は「営業利潤」の計算過程に含まれ、「営業利潤」は日本の「経常利益」に相当します。よって、「営業利潤」に加算する営業外収入および減算する営業外支出の営業外支項目は、日本の特別利益および特別損失に該当するものとなり、これにより算出される「利潤総額」は日本の損益計算書の「税引前当期純利益」に相当するものとなります。

2.営業外収入

 営業外収入とは、企業が経営目的を達成するために従事する経常的な活動、およびそれに関連する活動以外の活動で生じた経済的便益の純流入額であり、これを得るための対価の支払いや相応する費用の配分を必要としないものです。営業外収入も企業の利益を構成するものではありますが、通常の活動で生じる収入とは区別して利得と呼ばれます。
 営業外収入には、非流動資産の処分による利得、棚卸による利得、違約金利得、寄付利得、政府補助金などがあります。営業外収入の主たるものの処理は以下の通りです。 営業外収入は収入項目ごとに明細科目を設定して使用します。

一. 非流動資産の処分による利得: 固定資産の処分および無形資産の売却による収入から処分費用および資産の帳簿価格を控除した純額。
二. 棚卸利得: 現金や固定などの実地棚卸を行った際に帳簿記録を超えることが発見された余剰部分の金額。
三. 違約金利得: 企業が延滞金や各種の罰金の収入額から実際に生じた経済的損失を控除した後の純額。
違約金は相手方に対する経済制裁であり、企業の通常の経済活動がもたらす収入ではないため、営業収入ではなく、営業外収入として処理しなければなりません。
四. 支払が不可能なことを確認した未払金: 債権者側の問題などにより、支払いを行うことができないことを確認した売掛金や未払金など。

 なお、小企業会計準則を採用する企業に為替差益が生じた場合には、財務費用に計上する為替差損とは相殺せず、営業外収入に計上するものとされています。

<例37-1> 性能の問題により生産設備(取得価額50万元、減価償却累計額45万元)を廃棄処分することを決めた。取引に関連して生じる税金については考慮しない。
①適正な手続きを経て資産の処分を決定した。
借: 固定資産清理(固定資産処分)     50,000
   累計折旧(減価償却累計額)      450,000
 貸: 固定資産 ―生産設備          500,000
②処分費用として1万元を支払った。
借: 固定資産清理(固定資産処分)     10,000
 貸: 銀行存款(銀行預金)            10,000
③スクラップ代金8万円を収入した。
借: 銀行存款(銀行預金)             80,000
 貸: 固定資産清理(固定資産処分)       80,000
④設備の処分純利益を認識する。
借: 固定資産清理(固定資産処分)   20,000
 貸: 営業外収入                  20,000
<例37―2>月末に原材料Cの実地棚卸を行った。
①50キログラム(材料1キログラム@600元)棚卸益が生じていることを発見し、原因は調査中である。
借: 原材料―原材料C             30,000
 貸: 待処理財産損溢(未処理財産損益)     30,000
②調査の結果、入庫時の計量の誤りであったことが判明した。
借:待処理財産損溢(未処理財産損益)     30,000
 貸: 営業外収入                       30,000