中国 中国会計税務
[中国会計] 中国の国家統一会計制度(27)
主要な経済取引にかかる会計科目に関する記帳処理などを具体的に紹介します。今回は短期の未払および前受金債務のうち、従業員報酬に関するものについて紹介します。
1.職工薪酬(従業員報酬)
企業会計準則(新準則)においては、「職工薪酬(従業員報酬)」とは、企業が従業員の提供するサービスを獲得するために給付する各種形式の報酬およびその他の関連する支出と定義されており、具体的には、従業員給与・賞与・手当および補助金、従業員福利費、社会保険料、住宅積立金、従業員教育費や労働組合費、労働契約の解除に伴う補償金などで、自社製品の給付および住宅の無償提供や医療保険の負担など非貨幣性のものも含むものとなります。
従業員の範囲は、正規、非正規に関わらず企業と労働契約を締結しているすべての者のほか、企業が任命した董事会や監事会の構成員、および労働派遣契約人員を含み、従業員報酬には、これら従業員の配偶者や子女などの被扶養者に提供されるものも含まれます。
2.応付職工薪酬(未払従業員報酬)の認識
企業は、従業員が役務を提供する期間に支払うべき従業員報酬を負債として認識しなければなりません。社会保険など国家規定があるものは国家規定に基づき、国家規定のないものは企業の規定や実際の状況に応じて見積計上するものとなります。
同時に、認識した従業員報酬は、生産部門の従業員分は製品原価や製造費用に、管理部門の従業員は管理費に、自己建設資産や研究開発に携わる従業員分については、建設仮勘定や研究開発費にと、役務の受益対象の異なるごとに計上します。
3.応付職工薪酬(未払従業員報酬)の記帳処置
当科目は、その発生原因や支払い方式の異なるごとに「工資(給与)」、「職工福利」、「社会保険費」、「住房公積金(住宅積立金)」、「工会経費(労働組合費)」、「職工教育経費」、「非貨幣性福利」などの明細を2級科目に設定して使用します。中国では、給与の支給対象期間を各月1日~末日とし、翌月10日頃に支払うのが一般的で、毎月末に未払従業員報酬を計上します。給与からは、個人所得税や社会保険の個人負担分を代理徴収(中国語:代コウ、コウはてへんに口)して支払います。
<例21―1> 給与明細によると、A社の9月分給与総額は50万元で、うち、営業部門20万元、管理人員30万元、である。
①9月30日従業員給与の認識
借: 販売費用 200,000
管理費用 300,000
貸: 応付職工薪酬-工資薪金(未払従業員報酬-賃金給与) 500,000
②10月10日、個人所得税計7万元、社会保険の個人負担分計5万元を控除した残額を支給した。
借: 応付職工薪酬-工資薪金(未払従業員報酬-賃金給与) 500,000
貸:銀行存款(銀行預金) 380,000
応交税金-応交個人所得税(未払税金-未払個人所得税) 70,000
其他応付款(その他未払金) 50,000
<例21―2> B社は自社の製品X(売価@1000元、増値税率17%、原価@700元)を従業員福利として1人1台交付することを決定した。従業員は生産部門170名、生産管理部門10名、管理部門20名である。
①支給決定時
借: 生産成本(製造原価) 198,900
製造費用 11,700
管理費用 23,400
貸: 応付職工薪酬-非貨幣性福利(未払従業員給与-非貨幣性福利) 234,000
②製品支給時
借: 応付職工薪酬-非貨幣性福利(未払従業員給与-非貨幣性福利)234,000
貸:主営業務収入 200,000
応交税金-応交増値税(未払税金-未払増値税) 34,000
借: 主営業務成本(売上原価) 140,000
貸: 庫存商品(在庫商品) 140,000