[中国会計] 中国の国家統一会計制度（26）

主要な経済取引にかかる会計科目に関する記帳処理などを具体的に紹介します。今回は短期の未払および預り金債務のうち「前受金」及び「その他未払金」について紹介します。

１．「預収チョウ款」（前受金）

「預収チョウ款」（チョウは貝へんに長）とは、契約書の規定に従い相手先からあらかじめめ受け取る手付金などの前受金のことで、相手方に商品などを受け渡した後に改めて残金を受け取ることになります。企業が商品の出荷やサービスの提供前に受け取る代金は、企業の負債となりますが、「応付チョウ款（買掛金）」とは異なり、前受金は貨幣ではなく、商品やサービスなどの受け渡しにより弁償されるものです。この科目は、得意先ごとの明細を２級科目に設定して使用することが求められています。なお、前受金による取引が多くない場合には、この科目を使用せず、その発生時に直接「応収チョウ款（売掛金）」に記帳することも認められています。但し、期末に売掛金残高がマイナスとなる場合には、前受金に振替えるものとなります。

＜例１９－１＞　Ａ社はＢ社と商品10万元（増値税１.7万元）の売買契約を締結した。代金のうち40%を手付金とし、商品を受け渡した後に残金の支払いを受ける約定である。
①Ｂ社から手付金を受け取った。
借：　銀行存款（銀行預金）　　　　　　　　　 　　　　　　　　 　46,800
貸：　預収チョウ款（前受金）－Ｂ社　　　　　 　　　　　　　　 　　　 46,800

②商品を発送し、Ｂ社から検収を終えた通知を受けたため、売上を認識する。
借：　預収チョウ款（前受金）－Ｂ社　　　 　　　　　　 　　 117,000　　　
貸：　主営業務収入（売上）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 100,000
応交税費－応交増値税・ショウ項税額（未払税金－未払増値税・売上税）　17,000
（ショウは金へんに肖）

③Ｂ社から残金の支払いを受けた。
借：　銀行存款（銀行預金） 　　　　　　　　　 70,200
貸：　預収チョウ款（前受金）－Ｂ社　　　　　　　　 　　　　　　　　　　 70,200

＜例１９－２＞例１９－１で「前受金」科目を使用しない場合。
①Ｂ社から手付金を受け取った。
借：　銀行存款（銀行預金）　　　　　　　　　 　　　　　　 　 46,800
貸：　応収チョウ款（売掛金）－Ｂ社　　　　　 　　　　　　　 46,800

②商品を発送し、Ｂ社から検収を終えた通知を受けたため、売上を認識する。
借：　応収チョウ款（売掛金）－Ｂ社　　　 　　　　　　 　　 117,000　　　
貸：　主営業務収入（売上）　　　　　　　　　　　　　　　 100,000　
応交税費－応交増値税・ショウ項税額（未払税金－未払増値税・売上税）　17,000
③Ｂ社から残金の支払いを受けた。
借：　銀行存款（銀行預金） 　 70,200
貸：　応収チョウ款（売掛金）－Ｂ社　　　　　　　　 　 70,200

２．其他応付款（その他未払金）

「其他応付款（その他未払金）」とは、企業の商品取引業務と直接関係しない、支払いを要するまたは一時的に受領した金員で、支払手形、前受金、未払賃金給与、未払配当、未払利息などを除く各種の短期債務です。例えば、事務所や機器などの賃借料の未払い、一時的な保証金の受入などがこれに該当します。「その他未金」は多岐にわたるため、未払の項目ごと、および相手先ごとに明細科目の設定が要求されています。

＜例20＞
①Ａ社は包装容器をＢ社に貸し出すに当たり保証金20,000元を預かった。
借：　銀行存款（銀行預金）　　　　　　　　　　　　　 20,000
　貸：　其他応付款－存入保証金（その他未払金－受入保証金）　 20,000

②包装容器の返却を受け、保証金を返金した。
借：　其他応付款－存入保証金（その他未払金－受入保証金）　 20,000
貸：　銀行存款（銀行預金） 20,000