中国 個人所得税
[まとめ] 中華人民共和国個人所得税法 改定の決定について
2019年9月1日施行。中華人民共和国第十三期全国人民代表大会常務委員会第五回会議にて2018年8月31日に審議が通過し、個人所得税法が大幅に改定されることが決定した。主な内容は以下の通り。
1. 居住者の定義の改定
・居住者の認定要件が満1年から満183日へと改定された。
2. 所得の種類の改定及び「総合所得」の導入
・所得の種類が下表のように改定された。
・(1)賃金・給与所得、(2)役務報酬所得、(3)原稿報酬所得、(4)特許使用料所得の4種類の所得には総合課税制度が適用される。一納税年度における各所得の金額を合計して所得税額を計算する。
・(5)-(9)の所得を取得した場合は、本法に基づき個別に個人所得税を計算する。
旧法 | 新法 |
(1) 賃金・給与所得 | (1) 賃金・給与所得 |
(2) 役務報酬所得 | (2) 役務報酬所得 |
(3) 原稿報酬所得 | (3) 原稿報酬所得 |
(4) 特許権使用料所得 | (4) 特許使用料所得 |
(5) 個人工商業者の生産・経営所得 | (5) 経営所得(財税注解:個人の企業事業単位に対する請負・借受事業所得及び自営業者所得を含む) |
(6) 企業事業単位に対する請負経営・リース請負経営所得 | |
(7) 利子・株式利子・配当所得 | (6) 利子・株式利子・配当所得 |
(8) 財産賃貸所得 | (7) 財産賃貸所得 |
(9) 財産譲渡所得 | (8) 財産譲渡所得 |
(10) 一時所得 | (9) 一時所得 |
(11) 国務院財政部門が徴税することを確定したその他の所得 |
3. 個人所得税の税率の改定
・総合所得は3%~45%の超過累進税率を適用(個人所得税税率表一)
・経営所得は5%~35%の超過累進税率を適用(個人所得税税率表二)
・受取利息・配当金・特別配当金所得、資産賃貸所得、資産譲渡所得及び一時所得は比例税率を適用し、その税率は20%である。
個人所得税税率表一(総合所得適用)
等級 | 年度個人課税所得額 | 税率(%) | 速算控除額(元) |
1 | 36,000元以下 | 3% | 0 |
2 | 36,000元超 144,000元以下 | 10% | 2,520 |
3 | 144,000元超 300,000元以下 | 20% | 16,920 |
4 | 300,000元超 420,000元以下 | 25% | 31,920 |
5 | 420,000元超 660,000元以下 | 30% | 52,920 |
6 | 660,000元超 960,000元以下 | 35% | 85,920 |
7 | 960,000元超 | 45% | 181,920 |
※ 本表の年度個人課税所得額は本法第六条の規定に基づき、居住者個人が取得した一納税年度の総合所得より基礎控除額6万元・特別控除・追加控除及びその他の控除等を控除した残額である。
※ 非居住者が賃金・給与、役務報酬所得、原稿報酬所得、特許使用料所得を取得した場合、上記の個人所得税税率表に従い月割で換算し納税額を計算する。
個人所得税税率表二(経営所得適用)
等級 | 年度個人課税所得額 | 税率(%) | 速算控除額(元) |
1 | 30,000元以下 | 5% | 0 |
2 | 30,000元超 90,000元以下 | 10% | 1,500 |
3 | 90,000元超 300,000元以下 | 20% | 10,500 |
4 | 300,000元超 500,000元以下 | 30% | 40,500 |
5 | 500,000元超 | 35% | 65,500 |
※ 当表で表示した年度個人課税所得額とは、本法第六条の規定に基づき、一納税年度の収入総額より原価・費用及び損失を控除した後の残高である。
4. 租税回避防止に係る条項の追加
・独立取引原則に基づかない取引
・国外租税回避地による租税回避
・合理的な商業目的によらない不当な税収利益の獲得
5. 課税所得の計算方法の改定及び控除項目の追加
・課税所得の算出方法
一納税年度の収入金額 - 基礎控除(6万元) - 特別控除・追加控除項目等
・控除項目
特別控除項目 | ・基本養老保険 ・基本医療保険 ・失業保険等の社会保険費 ・住宅積立金 |
追加控除項目 | ・子女教育控除 ・継続教育費 ・高額医療費 ・住宅ローン利息 ・住宅賃料 ・高齢者扶養支出 |
※ 上記が含まれるが具体的な範囲・基準及び実施順位は別途規定される予定である。