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『人材募集行為を一層規範化させ、女性の就業を促進することに関する人力資源社会保障部、教育部等の九部門の通知』の公布

各省、自治区、直轄市及び新疆生産建設兵団の人力資源社会保障庁(局)、教育庁(教育委員会)、司法庁(局)、衛生健康委(衛生計画生育委員会)、国資委、医療保険局、総労働組合、婦人連合、人民裁判所の九部門は、『人材募集行為を一層規範化させ、女性の就業を促進することに関する通知』(原文、以下『通知』と呼称)を2019年2月21日付で公布した。

1. 目的

現在、中国の女性労働率は世界の中で高水準である一方、女性の就業においては、依然一定の困難があるのが現状である。特に、就業の場面において、女性を理由とした就業差別が存在している。こうした現象に鑑み、女性の就業権益を一層保障し、女性の就業を促進するために、上記九部門は共同で通知を公布した。

2. 主要内容

番号 主要事項 詳細 条項
1 人材募集段階における性差別の禁止 各種の企業、人力資源サービス機構は求人計画の作成、求人広告、人材募集段階において、性別の限定又は性別の優先をしてはならない。、性別を理由とした女性の就職活動の制限、女性の採用の拒否をしてはならない。女性の結婚・育児状況を聞いてはならず、妊娠検査を入社時の健康診断の項目に入れてはならない。育児の制限を採用の条件にしてはならず、女性の採用を困難にする基準を設けてはならない。 第二条
2 人力資源市場への監督管理強化 人力資源サービス機構が公開された求人広告への審査、クレームを処理する仕組みを完備し、公開された求人広告の審査義務を確実に履行し、性差別が含まれる求人広告の公開行為を適時に是正し、公開された情報の真実性、合法性、有効性を確保するように監督する。使用者企業、人力資源サービス機構が性差別の求人広告を発布した場合、法により是正するように命じる。是正することを拒否される場合、1万元以上5万元以下の罰金を科す。各種の企業、人力資源サービス機構が性差別の求人広告の発布により行政処罰を受けた場合、これらの状況を人力資源市場での信用記録に書き入れる。法による信用失墜の懲戒を実施する。 第三条
3 連合会談の実施 苦情・相談窓口、告発のホットライン12333、12338、12351等を開設し、採用における性差別に係る相談を適時に受け付ける。採用に性差別をした疑いがある使用者企業に対して面談、ヒアリング、書面等の方式により、調査・調停を行い、期限付き是正を命じて、労働者と使用者企業の紛争を解決する。 第四条
4 司法救済制度の完備 女性の就業活動における性差別に関する訴えを法により受理し、平等就業の紛争解決の場を設ける。就業活動において性差別を受けた女性に法律コンサルティング等のサポート及び法律援助を行い、司法の救済を積極的に提供する。 第五条
5 女性就業のサポート 女性個人それぞれに応じた職業指導、職業仲介サービスを提供する。女性に適当な研修プログラムに参加してもらい、使用者企業が産休後復帰する女性従業員に対しての職場スキルアップ研修を実施するように促す。監察、法律の執行を強化し、女性従業員の妊娠、出産、哺乳期間における特殊な労働保護権益を侵害する行為を法により懲罰する。女性と使用者企業との間に発生した労働人事争議に係る仲裁に対して、法により迅速に処理する。 第六条
6 宣伝・指導の展開 就業活動における性差別の禁止、女性が平等に就業する権利を保障するため、法律・法規・政策の宣伝を強化し、使用者企業が法を認知、遵守し、女性の就業をさせるように導く。 第七条

3. NAC名南の分析

労働法(原文、第13条)、就業促進法(原文、第27条)と女性権益保護法(原文、第22-29条)などの法律法規においても女性の平等就業権利、就業の性差別の禁止について明確な規定があるが、今回は、就業において女性に対する不平等の取扱いを禁止する内容・措置及び違反する場合の罰則を関係九部門がより明確化した。これは政府による女性の平等就業に対する高い関心を反映したものである。特に、人材募集段階において、女性の結婚・妊娠・育児に関する質問を禁止し、かつ、これを担保にするために、人力資源社会保険庁の監督が強化されることには、注意が必要である。

各企業における具体的な対応として以下が考えられる。

  1. 募集要項(自社採用、人材紹介会社へ提出するもの等全て)に例えば「男性のみ」、「女性は既婚者に限る」、「既婚子持ち女性のみ」といった表記がある場合全て削除する。
  2. 面接時に婚姻状況、育児状況、将来子どもを持つ計画があるかどうか等の質問を避ける。また、本人が自ら申告した場合でも、面接者名簿等に記録することは避ける。
  3. 入社前の健康診断は日系企業の多くが実施しており、入社後即産休に入るリスクを避けるために妊娠検査を義務付けて結果を提出させているケースが少なくないため、その場合は妊娠検査を削除するか、又は妊娠検査項目の無いプランに変更する。