中国 個人所得税
[全訳] 中国・個人所得税特別追加控除暫定弁法
国発〔2018〕41号
各省、自治区、直轄市人民政府,国務院各部委員会、各直属機構
ここに《個人所得税特別追加控除暫定弁法》を発行する。真摯に貫徹し執行すること。
国務院
2018年12月13日
第一章 総則
第一条
《中華人民共和国個人所得税法》(以下、個人所得税法と称する)の規定に基づき本弁法を定める。
第二条
本弁法における個人所得税特別追加控除とは、個人所得税法に定めた子女教育費・継続教育費・重病治療費・住宅ローン利息・住宅家賃及び高齢者扶養費等の6種特別追加控除を指す。
第三条
個人所得税特別追加控除は公平で合理的・簡便容易な実行・確実な負担減軽・民生改善の原則に準拠する。
第四条
教育・住宅・医療等の民生支出の変動状況に基づき、特別追加控除範囲及び基準を随時調整する。
第二章 子女教育
第五条
納税者の子女の全日制学歴教育に関する支出は毎年子女1人当たり12000元(毎月1000元を基準として控除する。学歴教育は義務教育(小学校・初等中等教育)、高校段階教育(普通高等中学・中等職業教育)、高等教育(大学専科・大学本科・修士研究生・博士研究生教育)を含む。満3歳から小学校入学前の就学前教育を受ける子女は本条第一款の規定に基づき執行する。
第六条
父母はどちらか一方が基準の100%を控除することができ、双方が基準の50%に分けて控除することもできる。具体的な控除方式は1納税年度内に変更できない。
第七条
納税者の子女が中国国外において教育を受ける場合は、納税者は国外の学校の入学通知書・留学ビザ等の関連教育証明書類を調査準備のために保存しなければならない。
第三章 継続教育
第八条
納税者の中国国内の学歴(学位)継続教育支出はその教育期間内に毎年4800元(毎月400元)を定額控除する。同一の学歴(学位)継続教育の控除期限は48ヶ月を超えてはならない。納税者の技能職業資格継続教育支出・専門技術者職業資格継続教育支出について、関連証明書を取得した年度に毎年3600元を定額控除する。
第九条
個人が本科及びそれ以下の学歴(学位)継続教育を受け、本弁法の控除条件を満たす場合、その父母が控除することができ、又は本人が控除することもできる。
第十条
納税者が技能職業資格継続教育支出・専門技術者職業資格継続教育を受ける場合は、関連証書等を調査準備のために保存しなければならない。
第四章 重病医療
第十一条
1納税年度内において、納税者に発生した基本医療保険に関する医薬費用の支出は、医療保険精算後の自己負担分(医療保険目録範囲内の自己負担部分を指す)の累計額が15000元を超える分については、納税者の年度確定申告時に80000元を限度額として控除することができる。
第十二条
納税者に発生した医薬費用支出は本人又はその配偶者を選択して控除することができ、未成年子女に発生した医薬費用支出はその父母の一方を選択して控除することができる。納税者及びその配偶者・未成年子女に発生した医薬費用支出は本弁法第十一条の規定に従い控除額を個別に計算する。
第十三条
納税者は医療サービス支出及び医療保険精算の関連証憑の原本(又は写し)を保存しなければならない。医療保障部門は患者に対し医療保障情報システムに記録される本人の年度医薬費用情報検索サービスを提供しなければならない。
第五章 住宅ローン利息
第十四条
納税者又は配偶者が単独又は共同で商業銀行若しくは住宅積立金を使用した個人住宅ローンで本人又はその配偶者が中国国内に購入した住宅について、実際にローン利息が発生した年度において毎月1000元を基準として定額控除し、控除期限は最長240ヶ月を超えない。納税者は初めて購入する住宅の利息についてのみ控除を享受することができる。本弁法における初めての住宅ローンとは住宅を購入し住宅ローン利率を享受する住宅ローンを指す。
第十五条
夫妻双方による約束の上で、そのどちらか一方のみが控除することを選択することができるが、具体的な控除方式は1納税年度内に変更することはできない。夫妻双方が結婚前に各自が住宅を購入し発生した最初の住宅ローンの利息に対して、結婚後はそのどちらか一方が控除基準の100%を控除することを選択できるが、夫妻双方は各自に購入した住宅に対し控除基準の50%をそれぞれ控除することも選択できる。具体的な控除方式は1納税年度内に変更できない。
第十六条
納税者は住宅ローン契約書・返済明細証憑を調査準備のために保存しなければならない。
第六章 住宅家賃
第十七条
納税者が主要勤務地にて住宅を所有せず住宅家賃支出が発生する場合、以下に基づき基準定額控除ができる。
(一)直轄市・省会(省都)都市・計画単列市及び国務院が確定したその他都市では、控除基準は毎月1500元。
(二)第一項の都市以外で、市轄区の戸籍人口が100万人超の都市では、控除基準は毎月1100元。市轄区の戸籍人口が100万人以下の都市では、控除基準は毎月800元。
納税者の配偶者が納税者の主要勤務地にて住宅を所有する場合は、納税者は主要勤務地にて住宅を所有することと見なす。
市轄区の戸籍人口は国家統計局が公布するデータに準ずる。
第十八条
本弁法における主要勤務地とは納税者が雇用される直轄市・計画単列市・副省級都市・地級市(地区、州、盟)の全ての行政区域の範囲を指し、雇用主がない場合は納税者の総合所得確定申告を受理する税務機関の居住地とする。夫妻の主要勤務地が同一の場合はどちらか一方のみ住宅家賃支出控除をすることができる。
第十九条
住宅家賃支出は住宅賃貸契約を締結した借主が控除を行う。
第二十条
納税者とその配偶者は1納税年度内に同時に住宅ローン利息及び住宅家賃特別追加控除を享受することはできない。
第二十一条
納税者は住宅賃貸契約書・協議書等の関連書類を保存しなければならない。
第七章 高齢者扶養
第二十二条
納税者は一人又は一人以上の被扶養者に対する扶養支出について、以下の基準定額に従い控除する。
- 納税者が一人っ子である場合、毎月2000元の基準定額を控除する。
- 納税者が一人っ子以外の場合、その兄弟姉妹にて毎月2000元を限度として分割し、各人の分割額は毎月1000元を超えることはできない。扶養者による平均分割又は約定分割をすることができ、被扶養者による指定分割を行うこともできる。約定又は指定分割は書面による分割協議による締結としなければならず、指定分割は約定分割に優先する。具体的な分担方法及び限度額は1納税年度内に変更することはできない。
第二十三条
本弁法における被扶養者とは満60歳以上の父母を指し、子女が既に死亡した満60歳以上の祖父母・外祖父母を含む。
第八章 保障措置
第二十四条
納税者は費用の受領単位より発票・財政証憑・支出証憑を受領し、受領単位はその提供を拒否することはできない。
第二十五条
納税者が初回に特別追加控除を享受する場合、特別追加控除の関連情報を源泉徴収義務者若しくは税務機関に提出しなければならない。源泉徴収義務者は納税者の関連情報を速やかに税務機関に報告し、納税者は情報の真実性・正確性・完全性に対する責任を負う。特別追加控除情報に変化が発生した場合、納税者は速やかに源泉徴収義務者又は税務機関に変更後の情報を提出しなければならない。前款に述べた特別追加控除の関連情報とは、納税者本人・配偶者・子女・被扶養者等の個人身分情報、及び国務院税務主管部門が定めた特別追加控除に関するその他情報を含む。本弁法の規定に基づき納税者は関連書類を5年間保存しなければならない。
第二十六条
関連部門と単位は税務部門に対して以下の特別追加控除に関する情報を提出、又はその真実性確認に協力する責任と義務を負う。
- 公安部門に関連する戸籍人口基本情報・戸籍成員関係情報・出入国証明情報・出国人員関連情報・戸籍人口死亡識別等の情報。
- 衛生健康部門に関連する出生医学証明書・一人っ子情報。
- 民政部門・外務部門・最高裁判所に関連する婚姻登記情報
- 教育部門に関連する学生学籍情報(学歴継続教育学生の学籍・試験情報を含む)・関連部門に登録した海外教育機構資質情報。
- 人力資源社会保障等の部門に関連する技術学校学生学籍情報・技能人員職業資格継続教育情報・専門技術人員職業資格継続教育情報。
- 住宅城郷建設部門:に関連する住宅(公共賃貸住宅を含む)賃貸情報・住宅積立金管理機構に関する住宅積立金ローン返済支出情報。
- 自然資源部門に関連する不動産登記情報。
- 人民銀行・金融監督管理部門に関連する住宅商業ローンの返済支出情報。
- 医療保障部門に関連する医療保障情報システムに記録された個人負担の医薬費用情報。
- 国務院税務主管部門が確定する提供すべきその他の関連税務情報
上記データ情報の様式・基準・共有方式は国務院税務主管部門及び各省、自治区、直轄市及び計画単列市の税務等の関連部門が定める。関連部門及び単位は特別追加控除に関する情報を所有するが、規定の要求に従わず税務部門に提供を行わない場合、税務情報の所有部門及び単位の主要責任者及び関連人員は相応の責任を負う。
第二十七条
源泉徴収義務者は納税者が提供した情報が実際の状況と符合しない場合、納税者に対し修正を要求することができ、納税者が修正を拒否する場合、源泉徴収義務者は税務局に報告し、税務機関は速やかに処理しなければならない。
第二十八条
税務機関は特別追加控除情報を確認する際、納税者の勤務先所在地、経常居住地、戸籍所在地の公安出張所、居民委員会又は村民委員会等の関連部門・企事業単位と個人が協力しなければならない。
第九章 附則
第二十九条
本弁法の父母とは、生みの父母・義父母・養父母を指す。本弁法の子女とは、実子・婚外子・連れ子・養子を指す。父母以外のその他が未成年の後見人である場合は、本弁法の規定に基づき執行される。
第三十条
個人所得税特別追加控除額は1納税年度において控除し切れない場合、翌年度以後へ繰り越して控除することはできない。
第三十一条
個人所得税特別追加控除の具体的な実施方法は、国務院税務主管部門より別途制定する。
第三十二条
本弁法は2019年1月1日より施行する。