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[中国労務] 外国人就労管理の新制度(前編)

外国人就労管理の新制度 (前編)

2016年9月27日付けで国家外国専家局は、外国人の就労管理に関する新制度として、「外国人来中就労許可制度の試行実施方案」を公布しました。これにより、北京、天津、河北、上海、安徽、山東、広東、四川、寧夏等試行10地域で、2016年11月から新規申請者を対象に、「外国人来中就労管理サービスシステム」を通して、新制度に基づいた運用がされています。(全国実施は2017年4月より)今回は、この新制度により、外国人の就労管理制度がどのように変更されるのかについて2回にわたり解説していきます。第一回目は、従来の就労管理制度と「二証統合」による就労許可制度の違いについて、考察します。(※本レポートは広東省(特に深セン・広州)の情況について説明したものとなります。)

1. 従来の就労管理制度について:

外国人の中国における雇用政策の中核となっている法律法規は、1996年1月施行の《外国人の中国における就労管理規定》(以下《就労管理規定》と略称)になります。六章からなるこの規定では、第二章就労許可、第三章で(就労許可の)申請と認可について規定しています。そもそも外国人を中国で雇用する為に、企業はどのような申請手続きをし、外国人就労者は、どのような許可、証書が必要になのか?確認してみたいと思います。

《就労管理規定》第二章第五条
「企業が外国人を雇用する際は、外国人就労許可を申請し、《中華人民共和国外国人就労許可証明書》(以下「就労許可証」)が批准され、取得した後、雇用することができる。」
前述から、外国人を雇用したい現地法人は、『就労許可証』を申請・取得して、外国人を雇用することができるとされております。

では、外国人従業員側は、就労の為にどのような証書が必要になるのか?
《就労管理規定》第二章第八条 「就労する外国人は『就労許可証』(中国語原文で“就业许可证”を取得し入国し(相互ビザ免除協議がある場合、協定に従う)、入国後に『外国人就労証明書』(以下『就労証』、中国語原文で“就业证”)と外国人居留許可(以下『居留許可』)を取得した後、中国国内で就労することができる。『就労許可書』と『就労証』は労働部で統一して発行する。」
つまり、外国人従業員は、『就労証』と『居留許可』を取得して初めて、中国で就労することができるとのことになります。但し、例外規定もあります。

第九条「 一般的に下記条件中の一つに符合する外国人は、『就労許可書』と『就労証』を免除することができる。
(一)中国政府が直接に費用を負担して招聘した外国籍の専門技術者及び管理者、又は国家機関及び事業単位が費用負担して招聘し、本国の、もしくは国際的権威のある技術管理部門もしくは業種協会が確認した高級技術職階もしくは特殊技能資格証書を有する外国籍専門技術者及び管理者で、外国専門家局が発行した『外国専門家証』を有する外国人。」

その結果、通常外国人が就労する際には、『就労証』若しくは『外国専門家証』を取得し、『居留許可』*1を取得して就労する状況がありました。

*1:本稿では、外国人の就労管理について記載しています。外国人が、中国に滞在する為、公安部門で取得する「居留許可」については説明を省略いたします。

2. 二証統合について

今回の外国人就労許可の新制度では、この『就労証』と『専門家証』が統合され、『外国人工作許可』となりました。このことを“二証統合”と呼称しております。“二証統合”について、以下の図の通りにまとめております。

二証統合前

 手続時点 入境前 入境後
手続き許可証・証書 外国専門家来華工作許可証 外国人就業許可証 外国人専門家証 外国人就業証
所轄 専門家局 労働局 専門家局 労働局
注記 書面通知方式

二証統合後

手続時点 入境前 入境後
手続き許可証・証書 外国人工作許可通知 外国人工作許可証
所轄 専門家局
注記 電子通知方式

従来、労働局と専門家局で発行されていた許可証、証書が、『外国人工作許可通知』、『外国人工作許可』に統一され、専門家局で発行されるようになりました。また、企業が取得する許可証の発行が、書面方式から、電子通知方式に変更されたことも注記すべき点です。

“二証統合”によるメリット、変更点について、以下四つの点が挙げられます。

①管理部門を統合することで、管理を簡便化した。
従来労働部門と専門家局が窓口となり、管理をしてきましたが、今回その窓口が一本化されたことで、重複した審査、批准、管理監督の抜道を回避し、事務効率を向上させ、職責を明確にすることができるとしています。

②許可証をネット上でプリントアウトすることができるようになった。
従来は、書面で発行されていた「就労許可証」「専門家許可証」が、「工作通知書」に統一され、システムを通して、ネットからアウトプットができるようになりました。これにより、国外にいる従業員へ直接電子メールで、「工作通知書」を送信することもでき、郵送コストや手続時間が削減されるとしています。

③全国で統一したシステムでの管理
「外国人来中就労管理サービスシステム」を使用し、申請を行います。電子データで予備審査し、審査を通過すれば、原本を窓口に提出するという形式の為、作業効率が改善されるとしています。

④生涯不変のコードを設定
「外国人工作許可証」は、個人のコードは、終身同一コードで管理され、外国人の中国での合法証書とすることができるとしています。

上述したように、手続き上は“二証統合”後は、簡便化・効率化されることになります。一方で、全国で統一したシステムでの管理、生涯不変のコード設定をすることは、中国当局が外国人の就労状況を生涯にわたり管理することが可能であり、且つ将来的には、公安、税関、税務の分野に渡り、統一コードで管理をすることが可能になることでもあります。中国で就労する外国人には、より一層の法令順守が求められています。

次回は、新就労許可制度における外国人の分類管理について、その分類標準、点数評価制度を考察します。