中国 中国会計税務
[中国会計] 中国の国家統一会計制度(36)
主要な経済取引にかかる会計科目に関する記帳処理などを紹介していきます。今回は収益に関する処理のうち、資産使用権の譲渡収益の認識について、および代金を長期分割とした場合の会計処理を紹介します。紹介する内容は、基本的には企業会計準則(新準則)に基づきます。
1. 譲渡資産使用権収入(資産使用権譲渡収益)の認識と収益の金額
資産使用権の譲渡による収益とは、利息収入および使用料収入などをいいます。資産使用権の譲渡による収入は、◇取引と関連する経済利益が企業に流入する可能性が高いこと◇収入金額が信頼性をもって測定できること――の2つの条件が同時に満たされた場合に初めて認識することができるとされています。
資産使用権の譲渡収入金額は、以下の状況に区分して確定します。
1.利息収入は、他者がその企業の貨幣資金を使用した期間および実行金利に基づき計算する。
2.使用料収入は、関連する契約や合意により約定された料金を受領する期間および方法により計算する。
<例31-1>A社はB社とソフトウェアの使用権を総額60万元で譲渡し、支払いを受けた。譲渡後にサービスの提供は行わない
借: 銀行存款(銀行預金) 600,000
貸: 主営業収入(売上) 600,000
<例31-2> A社はC社に商標使用権を許諾した。契約期間は5年間で、毎年の使用料は12万元である。
借: 銀行存款(銀行預金) 120,000
貸: 主営業収入(売上) 120,000
<例31-3> A社はD社に甲商品の商標使用権を許諾した。契約期間は5年間で、使用料は甲商品の年間売上の10%である。今年度のD社の甲商品売上は150万元であった。 借:応収チョウ款(売掛金) 150,000 貸:主営業収入(売上) 150,000 ※応収チョウ款のチョウは貝へんに長
2.代金分割払いの会計処理
第33回で紹介したとおり、商品売買収益の金額は、通常は契約等の金額が公正価値となりますが、長期の分割払いなど実質的に融資としての性格を有しているような場合には、その対価は通常の市場価格を超えて設定されるものとなります。このため、現在価値に基づいて公正価値を計算し、契約上の対価との差額を契約期間にわたって財務費用と相殺していきます。
<例32>A社はB社と20X1年8月1日に設備の売買契約(契約金額:600万元、支払条件:毎年8月1日に200万元、3回の分割払い)を締結した。当時の市場金利は8%であり、3年分割の場合の算定された現在価値は5,566,536元である。当該取引に係る値税は考慮しない。
① 20X1年8月1日
借:銀行存款(銀行預金) 2,000,000
長期応収款(長期未収金) 4,000,000
貸:主営業収入(売上) 5,566,536
未実現融資収益 433,464
② 20X2年8月1日に200万元の支払いを受けた。うち、285,323元は利息に相当する。
借:銀行存款(銀行預金) 2,000,000
貸:長期応収款(長期未収金) 2,000,000
借:未実現融資収益 285,323
貸:財務費用 285,323
③ 20X3年8月1日に200万元の支払いを受けた。うち、148,141元は利息に相当する。
借:銀行存款(銀行預金) 2,000,000
貸:長期応収款(長期未収金) 2,000,000
借:未実現融資収益 148,141
貸:財務費用 148,141
※利息相当分 ②(4,000,000-433,464)×8%=285,323 ③433,464-285,323=148,141