中国 中国会計税務
[中国会計] 中国の国家統一会計制度(7)
経済が発展していくには金融面の発展は重要です。中国では、金融経済の秩序の安定を守ることを目的に銀行口座の開設、使用についての規定を設けています。今回は、企業の中国の銀行口座の管理について、国家統一会計制度における規定を紹介します。
<銀行口座管理の規定>
中国の銀行口座は、外貨決済口座と人民元決済口座に大別され、それぞれに管理規定がありますが、ここでは人民元決済口座に関する規定を紹介します。
現在、人民元決済口座は、『人民元銀行決済口座管理弁法』(以下「銀行口座管理弁法」という。)及びその実施細則に基づき、管理されています。 中国の銀行(外資や合弁、外銀の支店を含みます)に口座を開設した「単位」(機関、団体、企業等の総称)、個人業者、自然人は全てこの規定に従わなければなりません。
また、当該管理弁法とは別に『税収管理法』の規定により、納税人は開設した全ての銀行口座を税務機関に報告することが規定され、一方、銀行も開設された口座に納税人の納税番号を記録することが義務付けられ、税務機関が企業の税の財源をコントロールできるようになっています。
<人民元口座の種類と用途>
日本でも、銀行口座等を悪用した犯罪が増えたことから、銀行口座の不正利用を防止する法律が制定され、口座開設に取引目的の確認が必要となる等一定の制限が設けられるようになりましたが、中国においては、企業の銀行口座は用途別に開設し、用途外の利用は認められず、同一企業内の口座間であっても自由には融通することができません。
<人民元銀行口座>
種類 | 使用範囲 | 特徴 |
---|---|---|
基本口座 | 日常の取引決済及び現金の引出し | 一単位に一口座のみ |
一般口座 | 借入金の入金、返済、利払い他必要に応じた決済 | 基本口座開設銀行以外にも開設可能 複数口座開設可能 |
専用口座 | 法規に従って特定用途に使用 | 法規に基づく開設 |
臨時口座 | 臨時的に設立した機構 異地での臨時的な経営活動 登録験資(※) |
一定の期間(最長2年)の臨時的な使用 |
基本口座は原則として一企業に一つのみ開設することができ、前回の現金管理で紹介した通り、現金の引出しが行える唯一の口座です。一般口座は、借入金に関する取引や口座を目的別に使い分ける必要がある場合に開設・使用します。基本口座を開設した銀行以外の銀行にも開設可能で、入金は現金によることも可能です。専用口座は、住宅基金や社会保障基金など法律や規定に従って開設、使用するための口座であり、目的外の使用は認められていません。臨時口座はその名の通り、臨時的な使用として特別に認められた場合に限り開設できるものです。
銀行口座は原則として営業許可証に記載された企業の登録住所地(経営地)の銀行でのみ開設することができるものとなりますが、臨時的に経営地以外(異地)での経営を行う場合には、その異地に臨時口座を開設することができます。なお、異地に常設機構がある場合には、その異地の銀行に基本口座や一般口座を開設することもできます。
<人民元口座の管理>
銀行口座の管理は、中央銀行である中国人民銀行が管理責任を負い、銀行や口座利用者が規定に違反する場合に処罰を行います。各銀行は、企業が開設した銀行口座に対し、年度検査を実施します。各企業においては、不正開設・使用が行われないように、銀行印や、暗証番号、口座開設許可証等の管理を徹底することが求められており、他人に名義貸しをすることは当然に禁じられています。
※払い込まれた資本金については、中国公認会計士事務所による資本金検査(中国語「験資」)を受けた後に企業の口座に入金され使用できるようになります。